相続対策は金額でなく事前整理5つ|財産が少ない家ほど揉める理由
相続対策は金額でなく事前整理5つ|財産が少ない家ほど揉める理由
「うちは財産が少ないから、相続なんて関係ない」と思っているなら、それは大きな勘違いです。
相続対策に金額は関係ありません。
むしろ財産が少ない家ほど揉めますし、残高がほとんどない通帳でも、残された家族には手続きが待っています。
僕は郵便局の窓口で、相続の手続きに来られるご家族をたくさん見てきました。
自分自身も3人を看取り、相続で銀行を回る側も経験しています。
この記事では、その経験から「今の自分にできる相続対策」を5つの事前整理に絞ってお伝えします。
読み終わるころには、今日やることが1つ決まっているはずです。
相続対策に金額は関係ない。財産が少ない家ほど揉めます
最初に、少し嫌なことを言います。
「家族がめちゃくちゃ大事」「うちの子はケンカなんてしない」。
そう言い切る人に限って、自分の身の回りのことを何もやっていません。
では、なぜ財産が少ない家ほど揉めるのか。
準備がゼロのまま相続が始まるからです。
財産が多い家は、たいてい事前に専門家が入っています。
司法書士や弁護士、税理士に相談し、公正証書遺言を残し、「自分がいなくなったらこうする」と家族に伝えてある。
だから、ドラマのような争いにはなりにくいんです。
逆に「うちは少ないから」と何もしていない家は、遺言もない、話し合いもない、どこに何があるかも分からない。
悲しみと疲れの中にいる家族が、ゼロから分け方を決めることになります。
揉めて当然です。
それに、手続きは財産の額と関係なく発生します。
残高がほとんどない通帳でも、名義人が亡くなれば相続の手続きが必要です。
(出典:鼻つぶれぱぐ男 音声配信 本記事と同じタイトルの回)
死後の手続きは家族の仕事。銀行は1日3つが限界でした
人が亡くなった後の手続きは、本当に多いです。
僕が調べた範囲では「細かいものまで含めると180個ほどある」という情報もありました(件数は数え方で変わるため未確認)。
数の正確さより大事なのは、そのすべてを残された家族がやるという事実です。
僕自身、相続で銀行を回ったとき、1日で回れたのは頑張って3つでした。
1つの銀行の相続手続きは、30分では終わりません。
下手をすると3〜4時間かかります。
本人でないとできない手続きが増えるほど、家族が出す書類も増えていく。
僕はそう見ています。
そのとき効いた段取りです。
今まさに手続き中の方は、そのまま使ってください。
まず、行く銀行すべてに事前に電話して「相続の手続きで、何時ごろに伺います」と伝えます。
次に、書類一式を持参して原本を預け、必要な分のコピーを取ってもらいます。
そのうえで「別の銀行にも原本を出したいので、預かり証をいただいて一度返してもらえませんか」と相談します。
待ち時間に次の銀行へ移動し、終わった順に回収していきます。
原本を返してもらえるかは銀行ごとに違うので、電話の段階で確認しておくのが確実です。先に連絡しておけば、向こうも準備して待っていてくれます。
戸籍の束を窓口ごとに出し直す手間は、法務局の「法定相続情報証明制度」で減らせます。相続関係を一覧にした証明書で、預金の払戻しなどの手続きに使えます。
使えるかどうかも、提出先の銀行に電話で聞いておけば確実です。
▼この章で参考にした一次情報
法務局「法定相続情報証明制度」について https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
(出典:鼻つぶれぱぐ男 音声配信 本記事と同じタイトルの回)
「死んだら関係ない」は無責任。人は変わらないから自分から動く
「死んだ後のことなんか分からない」「あとは勝手にやって」。
こう言う人、いますよね。
はっきり言います。
めちゃくちゃ無責任です。
家族を愛していると言うなら、その考えは今日で変えてください。
一方で、この話を親や子どもに熱く伝えても、まず変わりません。
人は簡単には変わらないからです。
親に「そろそろ相続のこと、どう考えてる?」と聞いた途端、「俺に死んでほしいのか」と怒り出す人もいます。
だから、変えるべきは自分です。
自分のことなら、今日から動けます。
もう1つ、嫌な質問をさせてください。
あなたは「明日も絶対に生きている」と言い切れますか。
僕は言えません。
余命宣告ですら予測にすぎず、1か月と言われた人が1年生きることもあれば、その逆もあります。
先が分からないからこそ、動ける今のうちに片付けておくんです。
今日からできる事前整理5つ|モノ・口座・カード・契約・ノート
事前整理といっても、ミニマリストになれという話ではありません。
家族が後でやる手続きと片付けを、自分が生きているうちに1つずつ消していく作業です。
【①家の中のモノを減らす】
我が家は去年と今年で、夫婦合わせてゴミ袋20〜30個分を処分しました。
基準は「2〜3年着ていない服は、もう着ない」。
写真や卒業アルバムは、個人情報の部分をシュレッダーにかけてから、自治体の出し方どおりに処分。
いらない棚、書籍、書類、使っていない布団も手放し、妻の大きなベッドは業者さんにまとめて回収してもらいました。
漫画や使っていないバッグはフリマアプリに出して、全部売れています。
先日、妻の家族が遊びに来たとき「引っ越したばかり?」と聞かれたくらいです。
僕も家族を亡くしたとき、物であふれた家の片付けを経験しました。
本当に大変です。
業者さんに頼めばお金で解決はできますが、生きている自分がやれることなら、今のうちにやっておけばいいんです。
しかもモノが減れば、広い部屋は要りません。
スペースにはコストがかかっています。
家賃の安い部屋を選べますし、レンタルコンテナを解約すればその固定費も消えます。
【②使っていない銀行口座を解約する】
昔、遠方で作ったまま放置していた口座を、先日わざわざ解約しに行きました。
口座が1つ残っていれば、亡くなった後に家族の手続きが1つ増えます。
年を取るほど窓口はおっくうになるので、動ける今のうちに減らすのが正解です。
【③クレジットカードとポイントカードを絞る】
カードが多いと、不正利用に気づけません。
使っていないカードで知らない引き落としが続き、気づいたときには補償の期限切れ、ということも起こり得ます。
期限は各カードの会員規約に書いてあるので一度確認し、使っていないものは解約してください。
【④サブスクと不要なログイン先を解約する】
登録したままの使っていないサービスも同じです。
僕も最近、少し使っていたものも含めて「もう要らない」と判断したサブスクは解約しました。
今使っているものは、そのままで構いません。
【⑤エンディングノートに「どこに何があるか」を書く】
郵便局で手続きをしていた頃、「どこの銀行に口座があるか分からなくて困った」というご家族にたくさん会いました。
へそくりの口座も、家族が見つけられなければ受け取れません。
それでは意味がないんです。
持っている銀行口座と証券口座、大事な書類の置き場所をノートにまとめておいてください。
AIに「僕が持っている口座と大事な書類の置き場所を、家族が読んで分かるエンディングノートにしたい。項目を作って」と頼めば、下書きはすぐにできます。
項目の立て方は
相続で残された家族が一人で迷わない終活ノート全12章の作り方
にまとめています。
(出典:鼻つぶれぱぐ男 音声配信 本記事と同じタイトルの回)
事前整理の次は「意向を伝える」。専門家と遺言書にお金をかける
事前整理で手続きの数を減らしたら、次は自分の意向を形にして伝えます。
ここからが相続対策の本体です。
司法書士、弁護士、税理士には、相続が起きる前に相談しておいてください。
相談料を払ってでも、です。
そこは惜しむところではありません。
僕自身はまだですが、60〜65歳になる頃には、相続を任せられる専門家のチームを見つけておくつもりです。
遺言書は、公正証書遺言にするか、自筆証書遺言を書いて法務局に預けるか。
法務局に預けた自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要になります。
僕自身、自筆の遺言書を作って法務局に預けており、年齢を重ねたら公正証書遺言に切り替える予定です。
子どものいない夫婦がなぜ遺言書を作るべきかは、
自筆証書遺言書保管制度を実際に利用した|手続きの流れと子なし夫婦が遺言書を作るべき理由
に書きました。
そして、伝えることです。
親に「相続どうするの」とは言いにくくても、自分のことなら言えます。
「ちょっと暗い話になって申し訳ないけど、自分がいなくなった時のことなんだけどさ」と切り出して、財産がある程度ある人なら「税理士さんと弁護士さんに入ってもらって準備してあるから」。
財産が少ない人なら「身の回りは整理して、口座はこのノートに全部書いておいたから、1つずつ進めてくれればいい。少ないなりに、こう分けてほしい」。
最後に「これでいいかな」と聞いて、決めたことは遺言書という形に残します。
形に残すことにお金を割くのをためらって、家族が揉める。
これが一番悲しいことです。
▼この章で参考にした一次情報
法務省「自筆証書遺言書保管制度」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
(出典:Kindle『お金に困らない人生のつくり方』/鼻つぶれぱぐ男 音声配信 本記事と同じタイトルの回)
まとめ:相続より相続対策。今日、持っている口座を全部書き出す
相続対策に金額は関係ありません。
財産が少ない家ほど、準備ゼロのまま揉めます。
人は変わらないので、変えられるのは自分の身の回りだけ。
モノ・口座・カード・契約を減らし、どこに何があるかをノートに残す。
最後は専門家と遺言書で、意向を形にして伝える。
飛ぶ鳥跡を濁さず、です。
大切な家族が、少しでも大変じゃないように。
で、今日から何をすればいいか。
持っている銀行口座を、紙に全部書き出してください。
それが事前整理の最初の一歩です。
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守るちから
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
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