大学に行かない子は不利じゃない、教育資金を運用に回す1つの答え
大学に行かない子は不利じゃない、教育資金を運用に回す1つの答え
「うちの子は大学に行かないかもしれない」。
そう思ったとき、コツコツ貯めてきた教育資金が無駄になる気がして、不安になりませんか。
結論から言います。
大学に行かなかった子は、不利じゃありません。
使わなかった教育資金をそのまま運用に回してあげれば、その子はむしろ有利になれる可能性があります。
私は信用金庫3年、郵便局15年の金融機関勤め18年、うち15年は保険を販売してきました。
学資保険がどういう商品で、誰がどういう理由で勧めてくるのか、売る側として中身を見てきた人間です。
この記事では、使わなかった教育資金の見方をひっくり返し、複利の試算と、子ども名義で運用するときの税務の注意点までまとめます。
大学に行った子は使う、行かなかった子は丸ごと残る
大学に行った子は、貯めてきた教育資金を学費として使います。
当たり前の話です。
では、行かなかった子の分はどうなるか。
丸ごと、手つかずで残ります。
多くのご家庭はこれを「宙に浮いたお金」として扱ってしまうんですが、視点を変えてください。
このお金は、その子が誰よりも早くスタートを切れる元手です。
大学に行った子は、学費という形で先に投資を受け取っています。
行かなかった子は、同じ金額を「時間を味方につけられるお金」として受け取れる。
どちらが上という話ではありません。
どちらの子にも、同じだけの追い風を渡せるということです。
行かなかった子が「僕は高卒だから」と劣等感を覚える必要は、まったくないんですよ。
しかも、早く働き始めた子は、大卒の子より4年早く給料が入ってきます。
早くスタートを切れること自体が、その子の強みなんです。
学資保険を勧められるのは「構造」の話です
ここで教育資金の「置き場所」の話をします。
お子さんが生まれると、金融機関や保険会社の人が学資保険を勧めてきます。
理由はシンプルで、大体のお子さんが18歳前後で大学に進み、そのタイミングで一番お金が必要になるからです。
必要になる時期が読めるお金は、金融商品を売る側から見れば提案しやすいお金なんですね。
大事なのは、個々の営業担当者の悪意じゃない、構造の話だということです。
私が保険を売っていた時代は、店頭にろくな投資信託が並んでいませんでした。
「全世界株を愚直に積み立てれば十分」というルートが、そもそも存在しなかった。
売る側も本気で「お客さんのため」と思って動いていた。
気づかないってのは、怖いんです。
そして学資保険の利回りは、正直、預金並みかそれよりちょっといい程度です。
大切な教育資金だからこそ、増えない置き場所に18年置くのはもったいない。
時間がたっぷりあるなら、新NISAでオルカン(全世界株インデックスファンド)を積み立てる方が合理的です。
【試算】使わなかった教育資金は、そのまま複利で育つ
じゃあ実際どれくらい違うのか。
ここから数字で見ていきます。
月1万円を0歳から18歳まで積み立てると、元本は216万円です。
これを年率5%で運用できたと仮定して試算すると、18年後にはおよそ346万円。
元本より約130万円、6割ほど増える計算になります。
もちろん株式なので、確実に年率5%で増えるわけではありません。
あくまで試算です。
ご自身の金額で確かめたい方は、新NISAつみたて&取り崩しシミュレーターで試算してみてください。
本題はここからです。
兄弟2人の例で、冒頭の「行かなかった子は有利になれる」を試算で確かめます。
前提はどちらも年率5%・非課税・60歳まで、です。
兄は大学に進学し、教育資金216万円を学費として全部使いました。
その代わり大卒として就職し、高卒より月1万円だけ給料が多かったとします。
その1万円を22歳から60歳まで38年間、毎月積み立てました。
元本は456万円。
試算では60歳時点で約1,327万円です。
これ自体は十分すごい成果です。
弟は大学に行かず、18歳で就職しました。
親は使わなかった教育資金216万円を弟のためにオルカンへ一括投入し、42年間、一切触らずバイ&ホールド。
試算では60歳時点で約1,676万円。
元本の約7倍です。
追加の積立ゼロで、兄を上回りました。
もちろん現実はこんなに単純じゃないし、ちょっと暴論なのも承知しています。
でも、この差を生んだのは才能でも努力でもなく、早く始めて長く置いたという時間だけです。
使わなかった教育資金は、無駄になるどころか、その子の人生最大の追い風になり得る。
複利と資金量の力って、こういうことなんですよ。
残り3年ならオルカンはダメです、期間で判断してください
じゃあ全員今すぐ学資保険をやめてオルカンか、というと違います。
ここは使うまでの期間で判断してください。
お子さんが今15〜17歳で、進学資金として使うかもしれないなら、オルカンに入れちゃダメです。
株式は短期ではざっくり半分になる可能性もあります。
使う時期が決まっているかもしれない大切なお金を、3年だけ株式に置くのはリスクの取り方として合いません。
残り1〜2年なら、学資保険はそのまま満期まで続けた方がいいと思います。
残り5年は微妙なラインですが、元本割れは気にせず、解約して、解約金をオルカンにそのまま入れます。
そして、残り5年は毎月、学資保険に入れていた積立金を預金で保有する。
大学のお金は1年で終わりではありません。
大学4年間で学資保険を売却して、保有したオルカンを少しずつ売却してもいいので。
それにもし、オルカン+5年間の預金積立の間に必要な教育資金が大学入学前に貯まるなら、オルカンを解約して、備えてください。
何度も言いますが、株式は短期ではざっくり半分になる可能性もあります。
一方、お子さんがまだ小さくて10年以上の時間があるなら、学資保険を解約して、オルカンに乗り換えてください。
その後の積立もオルカンで積立してください。
但し、お子さんの教育資金の目標額がお子さんの必要な時期より早く達成したら、
必要額のみオルカンを解約して、預金で保有してください。
何度も何度も言いますが、株式は短期ではざっくり半分になる可能性もあります。
進学するにしてもしないにしても、時間を味方につけられる置き場所を選んでください。
子ども名義の新NISAは税務に注意、でも最高の金融教育になる
使わなかった教育資金の渡し方は、大きく2つあります。
なお、浮いた分をご自身の老後資金に回したいという方は、それはそれで全然いいと思います。
ここでは「子どものために貯めたお金は子どもに」と考える場合の話をします。
1つ目は、親自身の新NISA枠で運用するやり方です。
生涯投資枠は1人1,800万円、夫婦なら3,600万円(2026年時点)。
枠が空いている方がほとんどだと思うので、自分の枠でオルカンに入れて、家庭の中で「あの子の分」と分けて管理しておく形です。
2つ目は、18歳になったお子さん本人の新NISAに入れて渡すやり方。
ただしここは税務の論点があります。
暦年課税の基礎控除は年110万円(2026年時点)なので、216万円を一度に渡せば贈与税の対象になり得ます。
また、名義だけ子どもで親が管理し続ける形は、名義預金として扱われるリスクがあります。
ここはグレーになりやすいので、実行前に必ず税理士さんに確認してください。
それでも私がこの話をするのは、これが最高の金融教育になるからです。
「あなたは大学に行かなかったけど、その分のお金はあなたのために運用してある。60歳になったとき、どれだけ増えているか見てみな」。
そう伝えられたら、複利のパワーを人生で体感させてあげられます。
お金の面でも、心の面でも、進学しなかった子を導いてあげられるんです。
まとめ:投資も人生も、正解はなく最適解はある
大学に行くのが正解、行かないのが正解、という話ではありません。
子どもは親のクローンじゃない。
その子の人生があります。
税理士や看護師のように、明確な夢があるなら進学は大事です。
一方で、これからはAIとタッグを組んで進める仕事が増えていきます。
学歴も資格も、実務が伴わなければそれだけでは稼げません。
大学を出たかどうかより、何を身につけて何をやるかの方が大きい時代になっていく。
だから、漠然としたまま進学するくらいなら他の道も全然ある、と私は思っています。
ただし、これだけは言わせてください。
教育ローンを組まないと進学できない状況を子どもに押し付けるのは、子どもの未来を潰すことになりかねません。
子どもが18歳になる日は、生まれた瞬間から分かっています。
計画が立てられるお金なんです。
だったら、子どもを作った責任のもとで、コツコツ貯めていきましょう。
そして覚えておいてください。
使わなかった教育資金は、無駄じゃない。
そのまま運用に回してあげれば、行かなかった子の一番の味方になります。
今日が、あなたの人生で一番若い日です。
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増やすちから
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
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