米国株の取引手数料がついに無料!その裏側と30年93万円の差
米国株の取引手数料がついに無料!その裏側と30年93万円の差
結論から言います。
米国株の取引手数料が、ついに無料になります。
資産形成にとって間違いなく追い風です。
ただし「無料」という言葉で思考停止しないでください。
企業は善意でタダにしてくれません。
無料には必ず理由があります。
そして手数料の世界では、同じS&P500に投資していても、買う窓口が違うだけで30年の試算で約93万円の差がつきます。
今日はこの無料化ニュースの中身と裏側、無料に飛びつく前に見るべき数字を、一次情報で解説します。
米国株の取引手数料が「ついに無料」になった
日経新聞が報じたところによると、米国発のスマートフォン証券であるウィブル証券が、米国株の現物取引と信用買い取引の手数料を無料にすると発表しました。
発表ベースでは、対象は米国株とETFの約7,000銘柄、開始は7月下旬からで、日本で取引できる証券会社としては初の完全無料化とされています。
日本株では、すでに取引手数料無料の証券会社が当たり前になりつつあります。
そこに米国株の無料化の波が来た。
この流れ自体は、素直に投資家にとって良いことです。
なぜなら、資産形成で一番の敵は手数料だからです。
投資は世の中の買い物と真逆で、手数料を払わない方がいいものなんですね。
ほとんどのアクティブファンドがインデックスファンドに勝てない最大の理由も、購入時手数料や年間コストです。
市場の先は誰にもほとんど読めないのに、余分なコストを払えば、その分だけ確実にパフォーマンスが削られます。
だから、手数料をいかに払わないかが資産形成の速度を決めます。
そしてもう一つ。
パッシブ投資で効いてくるのは、利回りの率よりも資金量です。
先の読めない相場を予想して余分な手数料を払うくらいなら、ビジネスや仕事をアクティブにして、低コストのインデックスファンドに回せるお金を増やす。
その方が資産形成は確実に早くなります。
なぜ「今」無料にしたのか。moomoo処分と囲い込み
ただ、私は「無料はありがたい、やったー」では終わらせません。
「なんで今なん?」を掘ります。
背景は競合です。
2026年6月、moomoo証券が金融庁・関東財務局から行政処分(業務停止命令と業務改善命令)を受けました。
理由は、NISAの対象外の商品を「NISA対象です」と偽って販売していたことや、システムリスク管理態勢の不備です。
新規口座開設の勧誘・受付が止まっているこのタイミングで、ユーザーを一気に囲い込む。これが無料化の「今」の正体だと私は見ています。
金融機関で18年、うち保険販売を15年やってきた人間として、構造だけは断言できます。金融営業マンは金融のプロではなく、金融商品販売のプロです。
企業は善意でタダにしてくれるわけではありません。
ウィブルが悪い会社だと言いたいのではなく、個人の悪意でもなく、これはビジネスの構造の話です。
正直に告白すると、私も2〜3年ほど前に一度だけ、moomooの紹介リンクをXに貼ったことがあります。
案件ではなく申し込みもゼロでしたが、反省して、この類のリンクはもう二度と貼らないと決めています。
だからこそ言えます。
かつてmoomooを勧めていた人たちが、今度は一斉にウィブルを勧め始めたら、それは「あなたのため」ではなくビジネスです。
口座開設の特典、限定レポート、手数料の優遇。
いろいろな飾りをつけて紹介が始まると思いますが、紹介する側には毎月まとまった報酬が入る世界です。
ため息をついて、そっと距離を取ってください。
同じS&P500なのに30年で約93万円の差が出る
手数料の怖さを、一次情報の数字で見せます。
同じ三菱UFJアセットマネジメントが運用する、S&P500に連動する2つの投資信託を比べます。
決算時期を近づけるため、少し前の運用報告書で揃えました。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)第7期運用報告書(決算日2025年4月25日):総経費率0.10%
- つみたて米国株式(S&P500)第6期運用報告書(決算日2025年6月25日):総経費率0.23%。主に銀行の窓口などで販売されている商品です
投資対象は同じS&P500。
運用会社も同じ。
違うのは販売窓口だけで、総経費率に0.13%の差があります。
「たった0.13%でごちゃごちゃ言うな」と思った方のために、試算をお見せします。
条件は年率5%・毎月5万円・積立30年・年複利・非課税。
元本は1,800万円です。
- 年率5.00%のまま積み立てた場合:約4,094万円(40,942,568円)
- 経費率の差0.13%を引いた年率4.87%の場合:約4,001万円(40,012,750円)
差額は929,818円、約93万円です。
もちろん利回りは前提次第の試算で、実際の相場はそう単純ではありません。
それでも「同じ指数・同じ運用会社なのに、窓口を間違えただけで数十万円単位の差がつき得る」という構造は変わりません。
しかも積立は、30年後に気づいても過去には戻れません。
取り崩し期間まで含めれば、この差はさらに開いていきます。
だから私は、口を酸っぱくして「早く気づいてね」と言い続けているんです。
自分の条件でどうなるか気になる方は、新NISAつみたて&取り崩しシミュレーターで試算してみてください。
「無料」に飛びつく前に見るべきもの
では、ウィブルで口座を開くべきか。
私はやりませんし、皆さんにもお勧めしません。
トレンドが変わってきていることだけ覚えておけば十分です。
手数料は判断材料の一つにすぎません。
セキュリティ、顧客対応、入出金のしやすさ、アプリの使い勝手といった総合力で証券会社は選ぶべきです。
現にmoomooは、虚偽の説明と管理態勢の不備で処分されました。
業務改善命令は、皆さんが思っているよりはるかに重い処分です。
安さの裏で体制に穴があるなら本末転倒です。
もう一つの理由は感情です。
無料で約7,000銘柄が取引できるとなると、欲が出ます。
「無料だし、ちょっと個別株をやってみようかな」。
この余計な感情こそ、投資で一番よくないものです。
パッシブ投資でいくなら、eMAXIS Slimシリーズのような低コストの投資信託を買えば、そもそも取引手数料はかかりません。
全世界株式(オルカン)、S&P500、先進国株式。
この王道の指数から、多くの人が買っていて純資産総額が大きく、償還リスクの小さいものを選べば、大きく間違えることはありません。
どうしても米国ETFがやりたい方は、SBI証券や楽天証券にも買付手数料無料の銘柄があります(対象銘柄は各社公式サイトで確認してください)。
ただし配当への二重課税など、投資信託にはない手間とコストが出てくることは知っておいてください。
もう一点、忘れてはいけないのが償還リスクです。
純資産総額が集まらない投資信託は、運用会社の判断で途中償還される可能性があります。運用会社がすべての投資信託を続けてくれる保証はどこにもありません。
大切なお金を30年預けるのですから、預け先を見続けるのは自分の責任です。
手数料の安さと、みんなが買っていて続きそうかどうか。
この両方を見て選んでください。
手数料を見抜く目は、固定費削減と同じ
最後に一段上の話をします。
今日の本当のテーマは、「払わなくていいお金を見抜く目」です。
銀行の振込手数料、ATMの入出金手数料、投資信託の購入時手数料、クレジットカードの年会費。
賢くやれば、ほぼ払わずに済むものばかりです。
どうせやると決まっていることなら、同じ内容で安い方を選ぶ。
0.1%の差でも30年積み重なれば、人生が変わるレベルの差になります。
私自身、両学長の発信をきっかけに固定費と手数料の見直しから始めて、セミリタイアまでたどり着きました。
一方で、なんでも安ければいいわけではありません。
投資は手数料を払わない方がいい。
でもビジネスは、ちゃんとした相手にちゃんとした報酬を払った方が得をします。
例えば優秀な税理士さんに年100万円払って、合法の範囲で200万円分の節税アドバイスをもらえるなら、差し引き100万円のプラスです。
投資はパッシブ、ビジネスはアクティブ、ギャンブルや借金はネガティブ。
この軸で、払うべきお金と払わなくていいお金を仕分けしてください。
手数料無料の波は追い風です。
でも「無料」という言葉に思考停止しないでください。
見抜く目は一生モノの資産です。
今日の一歩として、自分が積み立てている投資信託の運用報告書を開いて、総経費率を一度だけ確認してみてください。
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増やすちから
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
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