地価5年連続上昇でも8県は下落中 不動産の二極化は平均で見えない
地価5年連続上昇でも8県は下落中 不動産の二極化は平均で見えない
全国平均はプラスでも、下がっている県が8つある
あなたの家は、上がる側ですか、下がる側ですか。
結論から言います。
全国平均の数字をいくら眺めても、あなたの家の価値は分かりません。
見るべきは平均ではなく、自分の家がある地域、もっと言えば自分の番地です。
2026年の路線価は全国平均で前年比プラス2.9%、5年連続の上昇でした。
公示地価も全用途平均でプラス2.8%と、こちらも5年連続のプラスです。
数字だけ見れば、日本の不動産は絶好調に見えます。
ところが中身を割ると、景色が一変します。
東京都の路線価はプラス9.4%と大きく伸びる一方で、下落した県が8つあります。
全国平均のプラスは、大きく上がっている地域に引っ張られた数字なんです。
空き家率も同じ構図です。
全国では13.8%とほぼ横ばいですが、県別に見ると和歌山県と徳島県は21.2%、沖縄県は9.3%。同じ日本の中で2倍以上の差が開いています(総務省・令和5年住宅・土地統計調査、2023年時点)。
実感としても同じことが言えます。
日本全体は好景気と言われますが、現場でお客さんに近い仕事をしている人ほど、その実感がないという声をよく聞きます。
つまり景気そのものも二極化しているんです。
賃金上昇のニュースが流れても、自分の給料が上がっていなければ、それは自分のいる業界が弱いというサインです。
お金の数字は全部、自分に当てはめて初めて意味を持ちます。
平均の罠は、貯蓄率でも純資産でも、そして不動産でも、まったく同じ形で現れます。
では、強いエリアの条件は何か。
立地が良い、人口が増えている、再開発の計画がある、住みたい街ランキングの上位に入っている。
こうした条件に1つも当てはまらない地域は、正直、黄色信号だと思っておいたほうがいいです。
二極化を加速させるのは「金利上昇」と「建設費」
私はもともと信用金庫にいて、住宅ローンの現場も担当していました。
その経験から言いますが、金利が上がると銀行はまず、貸す相手を絞ります。
一人ひとりの返済負担が増えるぶん、審査の基準が細かく、厳しくなるからです。
そこから連鎖が起きます。
①金利が上がる。
②借りられる人と金額が絞られる。
③買いたい人が買えなくなる。
④買い手が減ったぶん、需要は「確実に価値が残る立地」に集中する。
⑤ここで、上がるエリアと上がらないエリアの差が一段と開いていきます。
金利は、率だけでなく量で見てください。
残っている住宅ローンが3000万円あるなら、金利が1%上がるだけで、単純計算で年間の負担は30万円増えます。
元本が大きいほど、小さな率の変化が大きな金額になって返ってくる。
良いほうではなく、悪いほうで見積もっておくのが鉄則です。
もう一つが建設費です。
建築費の指数で見ると、木造住宅はこの約10年で1.5倍前後まで上がっています。
5年前に建てた友人の価格は、もう参考になりません。
新築が高くなるほど、条件の良い中古に需要が寄ります。
逆に条件の悪い物件は、リフォーム代のほうが高くつき、直す判断そのものが割に合わなくなる。
つまり金利と建設費は二極化の原因ではなく、加速装置です。
この金利上昇は、不動産市場の外にも波及しています。
分かりやすいのが東証REIT指数です。
REITを運用する会社は借入で不動産を買っているので、金利が上がると返済負担が増え、収益が圧迫されるという見方から売られやすくなります。
私は不動産投資は東証REIT指数でやっていますが、長い目で見れば、安く仕込めるタイミングと捉えることもできます。
金利は住宅ローンだけの話ではなく、いろんなところに波及すると思っておいてください。
ちなみに銀行は、皆さんの給料、物件の抵当権、保証会社という三重のガードを固めたうえでお金を貸しています。
銀行が悪いという話ではありません。
個人の悪意じゃない、構造の話です。
ただ、この構造を知らずに相談に行くと、相手のペースで話が進みます。
持ち家は1エリア・1物件への集中投資
私は賃貸派です。
理由は3つあります。
1つ目、持ち家は不動産投資だと考えている
1つのエリアの1つの物件に、住宅ローンというレバレッジをかけて資金を集中させる。
分散という言葉から一番遠い買い物です。
そして私には、買った値段より高く売れる物件を選ぶ目利き力がありません。
だから買いません。
2つ目、子供がいないので、有形資産を残す必要がない
3つ目、近隣トラブルがあっても、賃貸ならすぐ引っ越せる
家を買うと動けなくなりますが、賃貸なら住み替えの自由が残ります。
物を持たない暮らしは、終活や断捨離にもそのままつながります。
誤解しないでほしいのですが、持ち家を否定したいわけではありません。
住むための家は生活のインフラであって、家族みんなが幸せなら、それが一番です。
問題は「いずれ値上がりするはず」と期待を乗せて持ち続けるとき。
その瞬間から、それは投資判断に変わります。
保険販売を15年やっていた人間として、似た構図を何度も見てきました。
貯蓄型の保険は、加入した瞬間にコストを背負う商品です。
新築物件も、広告費や人件費が価格に乗っているぶん、買った直後に売れば2割ほど下がると言われます。
感情で買うこと自体は悪くありません。
ただ、コストが乗っている事実は、知ったうえで買ってください。
すでに買った人は、後ろを振り返る必要はありません。
やることは、収入をアクティブに伸ばして、1日でも早く借金を減らすことです。
投資はパッシブ、ビジネスはアクティブ、ギャンブルと借金はネガティブ。
35年ローンという長い拘束を短くできるのは、稼ぐ力だけです。
自分の家の価値は、今日から無料で調べられる
やることは簡単です。
まず、自分の家と近い条件(築年数・広さ・エリア)の売り物件を検索してみてください。買ったときと同じか、それより安い値段で並んでいたら、そのエリアは弱いサインです。
公示地価も路線価も、国土交通省と国税庁が無料ですべて公開しています。
自分の家の周辺の地価を5年分並べるだけで、上がっているのか、横ばいなのか、下がっているのか、事実がつかめます。
持ち家は資産だと言うなら、その資産の値段を調べないのはもったいない。
厳しいようですが、資産と呼ぶなら責任を持って調べたほうがいいと思います。
リフォームにも同じ視点が要ります。
トイレやお風呂など部分的な工事なら、大手にまとめて頼むより、専門の施工業者を直接探すほうがコストを抑えられることがあります。
大手経由でも実際に来るのは地元の業者で、間に手数料が乗るだけというケースがあるからです。
これは実家にも同じことが言えます。
親の家がある市町村の地価を、番地で5年分調べておくだけで、いずれ家族で住まいの話をするときの材料になります。
「売って」と言う必要はありません。
事実を先に持っておく。
それだけで話の質が変わります。
そして数字を持ってから相談に行く人と、手ぶらで行く人では、出てくる話がまるで違います。
相談するなら、銀行や無料のFP相談ではなく、住宅ローンに詳しい有料のFPを選んでください。
無料の相談には、無料で成り立つ理由があります。
これも構造の話です。
まとめ:平均で安心しない、事実を先に取る
不動産の二極化は、平均では見えません。
全国平均が5年連続プラスでも、下がっている県が8つあり、空き家率には2倍以上の県差があります。
そして金利上昇と建設費の高騰が、この差をこれからさらに広げていきます。
逆に言えば、この流れで不動産価格が大きく下がる局面が来たとき、現金を持っている人にはチャンスが巡ってきます。
今どうしても欲しいという気持ちに流されず、収入を伸ばし、インフレに負けない資産を育てながら待てる人が、一番良い条件で選べる側に回ります。
持ち家がある人も、これから買う人も、実家が気になる人も、やることは同じです。
平均の数字で安心せず、自分の家の、自分の番地の事実を先に取る。
事実を持っている人だけが、住み替えるのか、持ち続けるのか、売るのかを自分で選べます。
今日の一歩は1つだけ。
自分の家と同じ条件の売り物件を、1回だけ検索してみてください。
5分で終わります。
それだけで、平均では見えなかった景色が見えてきます。
▼お金にまつわる5つの力をまとめて読みたい方はこちら
お金にまつわる5つの力
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
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