高齢者の医療費が上がる本当の理由と40代から始める2つの備え

「また高齢者の負担が上がるのか」。

そんなニュースに身構えた方へ、まず結論からお伝えします。

高齢者の医療費の自己負担がこれから上がっていく本当の理由は、財政難ではありません。健康寿命が延びて、高齢者一人あたりの医療費がむしろ下がってきたからです。

40歳でセミリタイアし、いまは資産収入で暮らしている私が、この話がなぜ40代・50代の私たちにこそ効くのかをお伝えします。

金融機関に18年、そのうち保険販売を15年やってきた立場から見ても、ここは正確に押さえておく価値があります。

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高齢者の医療費は、今すでに「3段階」でかかっている

まず、ここを勘違いしている人がとても多いので正確に整理します。

医療費の窓口負担は「現役は3割、高齢者は1割」という単純な二択ではありません。

2026年時点では、69歳までが3割、70〜74歳が原則2割、75歳以上が原則1割という3段階です(いずれも一定以上の所得があれば2割や3割に上がります)。
「高齢者はみんな1割」と思い込んでいると、親の医療費や自分の将来を考えるときに判断を誤ります。

今でも年齢と所得で段階的に決まっている。

この前提を先に押さえてください。

ちなみに、75歳以上でも所得が一定以上ある人は2022年10月から2割に上がっていて、その負担増を和らげる配慮措置も2025年9月末で終了しています。

すでに「上げていく」流れは、静かに始まっているのです。

自己負担が上がる本当の理由は「健康寿命が延びた」から

ここが今日の核心です。

医療費の自己負担を上げようという議論は昔からありました。

ただ、これまでの理由は「医療費がかかりすぎて制度がもたないから」でした。

今回出てきているのは、まったく別の角度です。
健康寿命、つまり健康上の問題で日常生活が制限されずに過ごせる期間が、延びてきているのです。

厚生労働省の最新データ(2022年)では、健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳。

平均寿命との差、いわゆる「日常生活に制限のある期間」は男性8.49年、女性11.63年で、この差はここ十数年で縮小してきています。
かみ砕くとこうです。

昔の高齢者より、今の高齢者はずっと元気で、長く自立して暮らせるようになった。

だから同じ年齢でも医療費がかかりにくくなり、高齢者と現役世代の医療費の差が縮まってきた。

「そんなに医療費を使わなくなってきたなら、自己負担の割合を増やす余地があるよね」。これが今回の理由なんです。

物事は表裏一体で、健康になったのは素晴らしいことなのに、それが負担増の入り口にも使われる。

ここは、少し複雑な気持ちになりますよね。
もうひとつ、前提として知っておきたい数字があります。

生涯にかかる医療費のうち、およそ半分は70歳以降に発生すると言われています(厚生労働省の国民医療費のデータより)。

人生の後半に医療費が集中するのは事実です。

だからこそ、その前提を早めに受け止めて、若いうちから備えておくことに意味があるのです。

議論の本丸は「年齢」から「負担能力」へのシフト

そして、私たち資産形成層が本当に知っておくべきなのはここです。

話の軸が「年齢」から「負担できる力」へ移りつつあります。
財務省の諮問機関である財政制度等審議会は2026年4月、70〜74歳を3割に、75歳以上も同じ負担割合に近づけるべきだとして、制度改革の工程表を2026年度内に作るよう提言しました。

健康保険組合連合会など、現役世代を支える側からも、高齢者の負担割合を見直すべきという声が続いています。

さらに2025年10月の連立政権の合意では「年齢によらない真に公平な応能負担」が明記され、保険料や負担の判定に金融所得を反映させる議論まで進んでいます。

今まさに、政府が7月中の閣議決定を目指す「骨太の方針2026」でも、高齢者の窓口負担の見直しが論点として並んでいます(本記事の時点では調整中の扱いです)。
つまり、コツコツ資産を作ってきた人ほど「あなたは負担できますよね」と対象にされうる時代に向かっている。

真面目に貯めた人ほど、引っかかる感覚が出てくるはずです。

少し前にも、配当などの収入があるのに申告のしかたで社会保険料を低く抑えていた人について、その負担能力もきちんと見ていこう、という見直しの動きがありました。

今回の話も、これと同じ流れの中にあります。

株の配当や資産からの収入がある人ほど、これからは『負担できる側』として見られやすくなっていく。

ここを他人事にしないことが、私たち資産形成層には大事です。

ここは制度設計がまだ流動的なグレーゾーンなので、具体的な資産配置や節税をどう組むかは、専門家に確認することをおすすめします。

だから「医療保険」ではなく「全方位型の資産形成」で備える

では、どう構えるか。

結論はシンプルです。

医療保険や貯蓄型保険を厚くするのではなく、オルカン、つまり全世界株インデックスのような資産で全方位に備える。

これだけです。
なぜか。

「将来が不安ですよね」と煽って保険を売るのは、業界の昔からの鉄板でした。

個人の悪意ではなく、手数料の高い商品が売れやすい構造の話です。

私自身、保険を売っていた当時は「お客さんのため」と本気で動いていて、高手数料の自覚はゼロでした。

気づかないというのは、怖いんです。
私自身、かつては月に5〜6万円の医療保険や貯蓄型保険を払っていました。

両親をガンで亡くしていますが、それでも医療保険はすべて解約して、NISAに振り替えました。

踏み切れた理由は、日本の公的医療保険がそもそも世界最強だからです。

高額療養費制度があるので、自己負担が一定額を超えた分は戻ってきます。

たとえば75歳以上で一般的な所得の方なら、外来の自己負担は月1万8千円までに抑えられます。

この仕組みをまず知ると、民間の医療保険を厚く積むのが合理的とは限らない、と見えてくるはずです。
医療保険の弱点は、病気にならなかったら報われないことです。

掛けたお金は、健康ならほとんど戻ってきません。

一方でオルカンなら、病気になろうがなるまいが、資産形成は進みます。

健康なら、貯まったお金を好きなことに使えばいい。

もし大きな病気になっても、世界のインフレに沿って目減りを守ってきた資産があれば、自己負担が2割でも3割でも払えます。

制度上の提案は原則3割までですが、「3割で驚かない、それ以上を想定しておく」くらいの心構えでちょうどいい。

将来のことも自分の体のことも、株価と同じで正確には読めません。

読めないなら、どちらに転んでも使える形にしておく。

これが全方位型です。

40代から始める、2つの備え

最後に、今日からできる備えを2つに絞ります。

ひとつは「健康資本」への投資です。

人間ドックや予防歯科に、今からしっかり行く。

「病気じゃないかもしれないのにお金がもったいない」ではなく、早く見つけて、安いうちに治す。

医療費もインフレするので、同じ治療でも将来は倍かかるかもしれません。

今のうちに直せるものを直しておくのは、いわば健康の貯蓄です。
もうひとつは「金融資本」への投資です。

15年以上使う予定のないお金は、オルカンなどの優良なインデックスファンドに愚直に積み立てる。

利回りをいじって増やそうと頭を使うより、仕事や収入をアクティブにして投資に回すお金を増やすほうが、経済的自立には近い。

投資はパッシブ、ビジネスはアクティブ、ギャンブルはネガティブ、です。

実際にどのくらいの積立が将来いくらになるのかは、新NISAつみたて&取り崩しシミュレーターで一度試算してみてください。

数字が見えると、不安が「計画」に変わります。
私も半年に一度、妻と資産の報告会をしています。

増やすことより、世界のインフレに実質で負けていないかを確認するだけの、地味な会です。

でも、この確認を続けているから、制度がどう変わっても慌てずにいられます。
制度は変わります。

それも、自分に不利な方向に。

でも、変わる前提で備えている人は、変わっても困りません。

今日が、あなたの人生で一番若い日です。

70点で十分。気張らず、今日から一歩だけ進めていきましょう。

※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。

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はじめまして、鼻つぶれぱぐ男です。 「一人でも多くの人がお金に困らない人生を送れるように」をコンセプトに、新NISA・インデックス投資・固定費削減・保険の見直しなど、シンプルで再現性の高いお金の話を発信しています。 40歳でアーリーリタイアを達成。難しい金融知識ではなく、普通の人が実践できる方法にこだわってお伝えしています。ブログ・YouTube・音声配信・noteでも情報発信中です。ぜひあわせてご覧ください!
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