配当が増えると医療費も上がる。75歳以上の制度改正と新NISA
配当が増えると医療費も上がる。75歳以上の制度改正と新NISA
「配当で老後を支えよう」と考えているなら、先に知っておいてほしいことがあります。
配当は、受け取るときに税金で引かれて終わりではありません。
将来は、確定申告で申告しなくても、医療費の窓口負担と保険料の判定にまで乗ってくる方向で制度が動いています。
結論から言います。
配当を増やすほど、将来の医療費が上がります。
だから僕は、まず新NISAの非課税枠でオルカンです。
その理由を、今月の投資雑誌2冊を読んだ感想として話します。
今月の投資雑誌は、2冊が逆を向いていた
僕は毎月、投資雑誌を2冊読んでいます。
ただし、乗るためではなく逆指標として。
短期トレンドには近づかない、という方針の定点観測です。
今月は2冊が真逆を向いていました。
1冊は表紙まるごと高配当株。
もう1冊はAI・半導体と日本株の強い銘柄。
先月は2冊とも高配当寄りだったのに、今月は割れました。
しかも発売直前の8月19日に日経平均が大きく下げています。
中身はAIと半導体の急落。
誌面が押している分野が、店に並ぶ前に売られていた。
編集部を責める話ではありません。
取材・編集・印刷を経て店頭に並ぶまで数週間かかる。
紙という乗り物が、そういう構造なんです。
はっきり言います。
雑誌も個人投資家も、自分のポートフォリオを全部本当のことで開示しているかどうかは、誰にも分かりません。
僕自身も含めて。だから猛進はしないでください。
あなたのお金を一番大事にしているのは、あなたです。
「高利回りより増配」は、まともな話です
7月の回で僕はこう言いました。
利回りが高いのは、株価が下がっただけかもしれない。
見るのは利回りではなく、増配が続いているかどうか。
今月の誌面では、これが基礎編の柱になっていました。
「高利回りより増配」「利回りだけ見ていてもダメ」。
増配の4大キーワードとして、配当性向・DOE・連続増配・累進配当を挙げていた。
ここは正直まともで、長期で見ても筋が通っています。
僕も日本株の中小型株に投資しているので、この視点は良かったです。
ただし、載っている銘柄が全部いいわけではありません。
企業分析ができる人はどうぞ。
できないなら個別株はやめて、オルカンを買っておいてください。
誌面の主張は「業績・財務が良い中小型の高配当株が今チャンス」でした。
でも、チャンスかどうかは分かりません。
相場は読めないからです。
自分で日本株を組むなら、ディフェンシブも景気敏感も入れて、お弁当パックのように分散し、居心地のいい範囲に収めてください。
連続増配狙いなら値上がり益は意識しない方がいい。
中小型は落ちるときは結構落ちます。
大型株はオルカンの中に入っているので、そこはオルカンに任せればいい。
分配金の正体。毎月分配型は新NISAで買えません
今月いちばん使えると思ったのが、高配当の投資信託・ETFのページです。
投資信託の分配金は、組み入れ銘柄の配当だけから出ているわけではありません。
値上がり益からも、過去の利益の積み立てからも出せる。
いわゆるタコ足分配です。
誌面は、分配金の8割超が値上がり益から出ている商品を実名で並べていました。
ここで大事な事実を1つ。
毎月分配型の投資信託は、そもそも新NISAでは買えません。
金融庁の基準で除外されています。
長期の資産形成に向かないからです。
国が「向かない」と言っている商品を、わざわざ買わなくていいんです。
ただし、ETFは別の話です。
米国高配当株や米国債券総合のETFが毎月分配になって新NISAの対象から外れた話がありましたが、枠から外れただけで、商品が悪くなったわけではありません。
ETFは仕組み上、純資産を取り崩して分配金を出すことが基本的にできない。
分配金を出すたびに基準価額がずるずる下がる、という日本の投資信託にありがちな現象は起きにくいんです。
もう1つ。
信託報酬が高い投資信託は、中身に利回りがあっても、そこから手数料が引かれます。
手数料をバカにする人は、経済的自立には届きません。
配当を増やすほど、将来の医療費が上がる仕組み
ここからが本題です。
日経マネー10月号の巻頭に、75歳以上の後期高齢者医療制度の改正が解説されていました。
確定申告をしない配当や譲渡益も、医療費の窓口負担割合と保険料の判定に反映される方向、という内容です。
今は、特定口座の源泉徴収ありで申告不要にしていれば、配当がいくらあっても保険料の計算には入りません。
その場で所得税15%と住民税5%(復興特別所得税を除く)の約20%が引かれて終わり。その逃げ道が塞がれる、ということです。
仕組みはこうです。
証券会社などの金融機関が法定調書をオンラインで提出し、それを集めたデータベースを作る。
確定申告をしなくても、自治体が配当や譲渡益を把握できるようになる。
申告するかどうかの選択が意味を持たなくなるわけです。
厚生労働省の資料では、非課税のNISAは対象外と明記されています。
誌面によると、システム整備の関係で実際に効いてくるのは2030年前後の見込み。
今すぐではありませんが、方向は決まっています。
そして、同じ号の第1特集は「年間配当100万円を目指せ」でした。
事実として、配当は受け取った瞬間に約20%引かれるだけではなく、将来は医療費の窓口負担と保険料の判定にも乗ってくる。
同じ号に両方が載っていた。
ここが複雑なんです。
一方で、インデックスの積立は売らない限り所得が立ちません。
ここに構造的な差があります。
同じ号にもう1つ。
高額療養費制度も、2026年8月診療分から自己負担の月額上限が引き上げられ、年間上限が新設されています。
公的保険は最強。だからこそ、制度は動く前提で
信金3年、郵便局15年。保険を15年売っていた側の人間として、僕はずっと「日本の公的保険は最強」と言い続けてきました。
今も変わりません。
たくさんの症例があって、国が3割負担でいけると認めたものが標準治療になっています。だから僕は医療保険を全部解約しました。
両親をガンで亡くしていても、です。
個室代や食事代が心配なら現金100万円を貯めて、貯まったら医療保険は解約していいと思います。
保険会社の言葉のマジックに惑わされないでください。
売っていた側の人間が言っているんだから、間違いないです。
ただ、その公的保険の負担のかかり方が、これから変わろうとしている。
制度は動きます。
税金だけ見て設計すると足をすくわれる。
配当を積み上げるなら、その先の医療費と保険料まで含めて考えてください。
75歳以上の話に見えますが、最終的にはみなさんのところにも降ってくる可能性があります。
来ると思って構えておいた方がいい。
積み上げた先で、使えるかどうか
もう1冊のZAiに、桐谷さんのインタビューが載っていました。
今年、2つのがんが見つかったことを本人が公表しています。
2013年にテレビで株主優待生活を紹介され「そんなの無理だ」と叩かれた。
それで意地になって、以降ずっと現金を使わない生活を徹底してきた。
大好きなお店にも、優待がないという理由で自腹では一度も行かなかった。
自分に寿命があると思っていなかった。
そして今、もっと現金を使えばよかった、と少し後悔している。
資産の話ではありません。
億の単位の資産があっても、使う設計がなければ使えない、という話です。
桐谷さんは「優待名人」というキャラクターが出口を縛った。
この配信を聞いている人は「老後が不安」が同じ働きをします。
縛っている主語が違うだけで、構造は同じです。
株主優待が悪いとは思いません。
許容範囲で楽しむなら問題ない。
ただ、優待がついているからいい銘柄ではない。
いちばんいいのは、いい株を持って、必要なときに必要な分だけ出せる状態です。
お金はただの道具で、使うことは目的ではなく手段です。
目的は、今も未来も、心豊かにストレスなく過ごすこと。
健康も含めてです。
「今年旅行に行こうか、やめようか」で迷っている理由が「お金がもったいない」なら、人生としてもったいない可能性があります。
たくさん残して後悔しても、過去には戻れません。
まとめ。まず新NISAの枠が埋まっているか
雑誌は逆指標。
ただ今月は「高利回りより増配」のように、まともな話も載っていました。
市場の熱の温度計として使ってください。
じゃあ株を買わない方がいいのか。
そうではありません。
オルカンを新NISAの非課税枠で買っておけば、非課税枠は今のところ対象外です。
ごちゃごちゃ心配するくらいなら、まず国が用意した制度の枠が埋まるかどうかを考えればいい。
月15万円以上積み立てられて10年で枠が埋まる人は、iDeCoなどの非課税枠も使えばいい。
それでも払う税金があるなら、払うほど儲かっている、ということです。
自分の条件で積立と取り崩しの数字を見たい方は、新NISAつみたて&取り崩しシミュレーターで試してみてください。
今日やることは1つだけ。
自分の新NISAの枠が埋まっているか、確認してください。
制度は動く。
動く前提で設計する。
そして積み上げた先で使う。
今も未来も心が豊かに過ごせる人生に、お金をうまく使っていってください。
▼増やすちからの話をもっと読みたい方はこちら
増やすちから
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
#新NISA #オルカン #高配当株 #配当金 #後期高齢者医療制度 #医療費 #毎月分配型 #インデックス投資 #セミリタイア #投資雑誌 #毎日配信 #リベシティ

