貯蓄が上手い人は使うのが下手。目標は生活費25年分で立て直す
貯蓄が上手い人は使うのが下手。目標は生活費25年分で立て直す
貯金は得意なのに、お金を使うたびにどこか後ろめたい。
そんな真面目な方に、結論から言います。
貯蓄がうまい人ほど、使うことが下手です。
私は給料の40%を貯蓄して40歳でセミリタイアした人間ですが、だからこそ断言できます。
物事は表裏一体で、貯める力が強い人ほど、使う力が育っていません。
この記事では、貯め上手が使い下手になってしまう構造と、目標を「資産額」から「生活費」へ立て直す具体的な手順をお話しします。
読み終わる頃には、後ろめたさなくお金を使うための最初の一歩が決まっているはずです。
貯蓄がうまい人ほど使うのが下手になる構造
使うのが下手なのは、性格の問題ではありません。
構造の問題です。
貯蓄というのは、成果がそのまま数字で見えます。
通帳の残高が増えていく、積立の評価額が積み上がっていく。
小銭貯金で容器にお金が貯まっていくのを見ると嬉しくなるのと、まったく同じ仕組みです。
真面目にコツコツやれる人ほど、この「増えていく快感」にはまりやすい。
そして快感になると、貯めること自体が目的になります。
何に使うという目的もないまま、「どうせ使わないなら貯めておこう」「貯められる分は貯めてしまおう」と、貯蓄がどんどん過剰になっていくわけです。
私自身がそうでした。
お金の勉強を始める前は、「貯められるなら貯めておこう」と反射的に考える人間でした。
学生時代に何かで1位を取った経験はありませんでしたが、社会人になって仕事で評価されるようになり、夢中で働いているうちに、そもそもお金を使うタイミング自体がなかった。真面目に頑張れる人ほど、同じ道をたどりやすいと思うんです。
この配信やブログを読みに来てくださる方は、日々の生活を少しでも良くしたいと考えるリテラシーの高い、真面目な方が多いはずです。
だからこそ言います。
貯蓄が上手になる必要は、もうありません。
しかも貯める癖は、放っておくと勝手に強化されます。
貯めずにはいられない、貯められる分は全部貯めてしまおうという方向に、どんどん転がっていく。
ブレーキではなく、アクセルが踏みっぱなしになるイメージです。
だからこそ、意識して逆側の練習が要るんです。
お金はただの道具。過去には戻れない
お金は何回触っても、ただの道具です。
硬貨は金属、お札は紙。
何枚も触れば手が黒くなるくらい、物理的にも汚れています。
道具は使って初めて価値になります。
特に、家族との思い出や経験に使うお金は、最高の使い方です。
なぜ経験を強調するか。
過去には戻れないからです。
70代、80代になって体が思うように動かなくなったとき、「あのとき、あれをやっておけばよかった」と思っても、過去にはもう戻れません。
これが一番つらいんです。
お金は後からでも増やせますが、その年齢でしか買えなかった経験は、後からは絶対に買えません。
これは投資でも同じ構造です。
利率が悪く、手数料ばかり取られて利益がほとんど残らない商品に20年、30年と積み立てて、10年後、20年後に気づいたとしても、過ぎた10年は返ってきません。
金融機関に18年いた人間として、そういう商品しか店頭に並んでいなかった時代を知っています。
個人の悪意ではなく、構造の話です。
だからこそ、お金でも経験でも「早く気づくこと」に価値があります。
世の中には、ちゃんと良い商品もありますからね。
もう1つ、お子さんにたくさん残してあげたいという考え方も、当然あると思います。
ただ、残さなすぎるのも子供に嫌がられますし、逆に若いうちから大金を持たせすぎると、判断力が育つ前にお金だけが先に来てしまいます。
同級生から「よく分からない仮想通貨で売買するとめちゃくちゃ儲かる」と持ちかけられて詐欺に遭う。
そんな話は、現実に起きています。
お金は何でも買えてしまう道具だからこそ、渡し方にも使い方にも順番があるんです。
目標は資産額ではなく生活費25年分から逆算する
では、使い下手をどう直すか。
答えは目標の立て方を変えることです。
「1億円貯める」「2億円目指す」という資産額ベースの目標をやめて、自分の生活費から逆算してください。
目安は、年間生活費の25年分です。
これは有名な4%ルールに基づく数字で、米国のトリニティ大学の研究では、米国株と米国債を半分ずつ持って年4%で取り崩すと、ほとんどのケースで資産が枯渇しなかったとされています。
年間生活費の25年分があれば、経済的自立のラインに立てるという考え方です。
ただし、ここに落とし穴があります。
「枯渇しない」は、裏を返せば「使い切れずに残る」ということです。
1億円持って4%で取り崩し続けたら、90歳になっても1億円前後が残る計算になり得ます。
そこまで残して、どうするんだという話ですよね。
「資産が減らない安心」と「使い切れなかった後悔」は、隣り合わせなんです。
自分で使えなかったお金が残りすぎるのが嫌なら、少し余分に使っていく計画も含めて、自分で計算していくことが大事です。
幸い、今は計算の道具がそろっています。
マネーフォワードMEのような家計簿アプリで年間の生活費が見えますし、マイナポータルで将来の年金見込額も確認できます。
毎月の貯蓄額を年率5%程度の控えめな想定で将来まで伸ばしてみて、90歳時点でいくら残るのかを一度見てください。
私が作った新NISAつみたて&取り崩しシミュレーターでも、積立から取り崩しまで通しで試算できます。
「思ったより残る」と分かった瞬間に、使うことへの後ろめたさは根拠を失います。
ちなみに、SNSで「生活費の25年分を目指します」と書いている方を見かけると、この人はちゃんと考えているなと思います。
「1億円を目指します」のほうが威勢は良くてバズりますが、目標としての実用性は、圧倒的に生活費ベースです。
まだ働いていて収入がある方なら、収入の中から貯蓄していくペースはだいたい予想がつきます。
だからこそ、感覚ではなく数字で一度確認してほしいんです。
なお、経済的自立と早期リタイアは別の話です。
収入というキャッシュマシーンを手放すのは本当に怖いことなので、私はリタイアを勧めません。
この違いはFIRE失敗の原因は1つだけ。リタイアより経済的自立という結論で詳しく書いています。
貯蓄率40%だった私が使う癖をつけるまで
私は郵便局を辞める頃、毎月の給料の40%ほどを貯蓄していました。
2019年に老後2000万円問題をきっかけにお金の勉強を始め、両学長(リベラルアーツ大学)の考え方に出会い、固定費削減と積立投資に切り替えて、40歳でセミリタイアしました。
それだけ貯め込んできた人間でも、使う癖は後から練習して身につけるものでした。
今は、美味しそうなものがあれば「ちょっと高いからやめておこう」とは考えずに食べます。
妻が「家の中を改装したい」と言えば、迷わず出します。
それでも無理は禁物です。
無理してお金を使うのは筋が良くありません。
ポイントは、半年に1回、夫婦で資産報告会をやって全体を確認していることです。
生活費を使いながらでも、今のところ資産は減っていません。
数字で確認しているから、安心して使えるんです。
もちろん、この先大きな暴落が来て、資産が大幅に減少する局面もあり得ます。
要は「ここまで減ったら見直す」というラインを先に決めておけば、日々の支出でびくびくする必要はなくなる、ということです。
使う癖の話は資産1億でもお金の不安は消えない|今から使う癖をつける3つの理由でも書いています。
まとめ:我慢していることを1つだけ解放する
要点をまとめます。
貯蓄がうまい人ほど、貯めることが目的化して使うのが下手になります。
お金はただの道具で、過去には戻れません。
だから目標は資産額ではなく、生活費の25年分から逆算して立て直す。
残りすぎると分かったら、少しずつ使う側に回る。
これだけです。
我慢しているものを全部解放する必要はありません。
今日やることは1つだけ。
あなたが今我慢しているものを、1つだけ紙に書き出してください。
そして「たまにはやる」と決めてください。
100%我慢し続ける必要なんて、どこにもありません。
使う癖も、貯める癖と同じで、小さく始めれば育ちます。
正解はない、最適解はある。
あなたの生活費から逆算した数字が、あなたの最適解です。
今日が、あなたの人生で一番若い日です。
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使うちから
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
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