貯めるより使う方が100倍難しい|40歳リタイア4年目の出口戦略
貯めるより使う方が100倍難しい|40歳リタイア4年目の出口戦略
老後が不安だから、とにかく貯める。
気づけば通帳の数字を眺めるのが習慣になって、お金を使うことに罪悪感すら覚える。
心当たりはありませんか。
結論から言います。
お金は、貯めるより使う方が100倍難しいです。
私は信用金庫3年、郵便局15年の金融勤めを経て、40歳だった2022年3月に夫婦でセミリタイアしました。
給与収入のない生活を4年続けてきた実感として、これだけは断言できます。
資産形成は、入り口は簡単で、出口が難しい。
今日はその出口、つまり「お金の使い方」の話です。
給料ゼロでも資産が減らない、リタイア4年の現実
リタイアして4年、給料も定期的な収入もほぼ入ってこない生活です。
では資産は減ったのか。
減っていません。
もちろん最近の株高の恩恵があるので、その分は割り引いて聞いてほしいのですが、それでも「取り崩しながら生活しているのに減らない」という状態が、現実に起きています。
なぜか。
理由の半分は相場ですが、もう半分は「使えないから」です。
この記事を読んでくださっている方は、もともと将来が不安で資産形成を始めた方が多いはずです。
つまり、貯める訓練は十分に積んでいる。
ところが、使う訓練は誰もしていないんです。
浪費家の人は逆で、使うより貯める方が難しい。
でも、倹約と積立が習慣になった人は、いざ使える状況になっても財布のひもが緩みません。
私自身、郵便局時代は貯蓄率40%前後でやっていた人間なので、よく分かります。
貯め癖は、使う場面になっても消えないんです。
手取りの何割を貯めるべきか、に正解はない
「手取りの2割を貯めましょう」という目安をよく見かけます。
収入の1割を天引きせよという、バビロンの大富豪の教えも有名ですね。
これから資産形成を始める人への一般論としては、正しいと思います。
ただ、すでに資産形成が軌道に乗っている人が、この目安を守り続ける必要はありません。理由はシンプルで、年収も支出も家族構成も、将来必要になる金額も、全部人によって違うからです。
平均値はみんなの数字を均しただけの数字で、あなたにとって正しい数字ではありません。中央値ですらない。
私が普段から「平均の罠」と呼んでいるやつです。
やるべきことは一つです。
自分の年収と支出を出して、将来いくら必要かを自分で計算すること。
マネーフォワードMEのような家計簿アプリで支出を見える化して、そのうえで自分の貯蓄率を決める。
計算した結果「思ったより貯めすぎだった」と分かったら、堂々と使っていいんです。
無駄な贅沢はやめるべきですが、家族との旅行や外食、ちょっといい卵や豆腐のような「いい贅沢」まで削る必要はありません。
日々のご飯が美味しくなる数十円は、削るところじゃないんですよ。
自分で計算するのが難しければ、有料でファイナンシャルプランナーに家計を見てもらうのも一つの手です。
ただし無料相談は、保険などの商品販売が前提になっていることが多い。
相談料を払ってでも、商品を売らない相談先を選んでください。
家計の設計図は一生ものですから。
利回りより資金量。投資はパッシブ、ビジネスはアクティブ
貯蓄率の話とセットで、もう一つ伝えたいことがあります。
利回りに頭と時間を使うより、資金量を増やす方が早い、という話です。
例えで考えます。
月収100万円の人が貯蓄率20%なら、毎月20万円を資産形成に回せます。
月収30万円の人が同じ20%なら6万円。
仮に月収30万円の人が歯を食いしばって半分の15万円を貯めても、まだ届きません。
入金力の差は、利回りの工夫では埋まらないんです。
だから私はいつも言っています。
投資はパッシブ、ビジネスはアクティブ、ギャンブルや借金はネガティブ。
投資は全世界株インデックスの積立に任せて、何もしない。
浮いた頭と時間は、仕事・副業・転職といった、収入を増やす方に使う。
これが資産形成の最短ルートです。
逆に言えば、パッシブ運用以外のもの、たとえば手数料の高い貯蓄型保険やアクティブファンドにお金が流れているなら、使い方の前にまずそこを見直してください。
リターンの大半を手数料に持っていかれる商品を抱えたままでは、貯める話も使う話も始まりません。
これは商品を売る側に15年いた人間としての、構造の話です。
お金には旬がある。年を取るほど使えなくなる
リタイアして家にいると、気が張っていない分、よく分かることがあります。
40歳から45歳のこの5年だけでも、体は確実に重くなっていきます。
年齢とともに、行ける場所、できること、食べられる量まで、少しずつ減っていく。
つまり、お金には旬があるんです。
健康と気力と時間が揃っている今しか買えない経験があります。
子どもとの旅行もそうです。
「子どもの思い出のため」とよく言いますが、正直に認めましょう。
小さい頃の旅行を、子どもは大部分覚えていません。
あれは親が、子どもとの思い出を作りたいんです。
それでいいんですよ。
子どもが大きくなったら、もう一緒には行けないんですから。
旅行の仕方も変わりました。
以前は「せっかくだから」と1週間かけて回る計画を立てていましたが、今は行きたい場所にだけ、一泊二日でパッと行って帰ってきます。
行きたくなったら、また行けばいい。
極端な話、北海道の美味しいものが食べたくなったら、新千歳空港まで飛んで、空港の中で食べて買って帰ってくるだけでも成立します。
そういう身軽な使い方ができるのも、健康なうちだけです。
ちなみに私自身は、旅行先に強く行きたい場所があるタイプではありません。
行きたい場所がある妻と、その喜ぶ顔を見たい私。
人によって、欲望の出口は違います。
自分のお金が一番活きる出口はどこか。
それを知っておくことも、使う練習の一部です。
我慢を重ねた結果、振り返って後悔する人生になるのが、一番怖い。
これは投資と同じ構造です。
アクティブファンドや個別株で10年、20年運用して、インデックスに負けていたと気づいても、その時間は取り返せません。
人生も同じで、使わなかった10年は戻ってきません。
今日が、あなたの人生で一番若い日です。
使い切れないお金は、誰のためにもならない
では、貯め込んだお金は最後どうなるのか。終活の話です。
私は夫婦それぞれ自筆の遺言書を作って法務局に預け、エンディングノートも作り、家の中の断捨離も進めています。
残された人に迷惑をかけたくないからです。
その立場から、一つ質問させてください。
しっかり資産形成できているあなたは、自分が50歳、60歳になったとき、親のお金が必要ですか。
おそらく要らないですよね。
あなたのお子さんも、同じです。
私は30代で両親をガンで亡くしましたが、相続のときに思ったのは「もっと自分のために使ってほしかった」でした。
だから今、妻の両親には「元気なうちに、どんどん使ってください」と伝えています。
郵便局の窓口時代には、体が不自由になってから、お札の束を枕元に置いているお客さまもいらっしゃいました。
お金は、使われて初めて価値になります。
残すことが目的化したお金は、誰も幸せにしません。
渡したい人がいるなら、亡くなった後ではなく、相手が今やりたいことのために渡す方が、よほど生きたお金になります。
まとめ。「使う練習」は今日から始める
いくら貯めたら十分か。
この問いに、万人共通の正解はありません。
ただ、一つの目安は言えます。
新NISAの生涯投資枠1800万円は、月5万円の積立を30年続けて、ようやく埋まる金額です。
月5万円を30年。
これを淡々と続けられる人は、資産形成としては十分に合格点です。
自分の場合の積立と取り崩しのイメージは、新NISAつみたて&取り崩しシミュレーターで一度数字にしてみてください。
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そのうえで、公的年金を土台に、足りない分を必要な時に必要な金額だけ取り崩す。
この出口が描けているなら、過剰に貯め込む必要はもうありません。
浮いた分は、ちょっといい卵でも、家族との外食でも、行きたかった場所への短い旅行でもいい。
金額の大小ではなく、「使うと決めて使う」練習を今日から始めてください。
貯める力は、もう十分あります。
70点で十分、気張らなくていい。
次はそのお金で、今も将来も幸福度のある生活を作っていきましょう。
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
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