達人ファンドは世界株に64万円負け|プロ2人の3本とも指数に届かず
達人ファンドは世界株に64万円負け|プロ2人の3本とも指数に届かず
アクティブファンドは、プロが企業を選んでくれるから、インデックスより増えるはず。そう思って持ち続けていませんか。
結論から言います。
有名なプロ2人が運用に関わるアクティブファンド3本を、設定から今まで通しで確かめました。2026年10月29日時点で、3本とも比べるべき指数を下回っています。
根拠は、運用会社が公表している基準価額と、配当込みの指数のデータです。最初に100万円を入れていたらいくらになったかで並べました。
読めば、高い手数料を払ってアクティブファンドを持ち続ける意味があるのか、自分で判断できるようになります。
中野さん・堀古さんの主張は「人が企業を分析して選ぶから勝てる」
先に、2人の主張を正確に書きます。
楽天証券「トウシル」の対談で、なかのアセットマネジメント社長の中野晴啓さんと、ニューヨークの運用会社ホリコ・キャピタルの堀古英司さんが話していました。中野さんは、積立王子と呼ばれた元セゾン投信のトップです。
堀古さんの言い分は、宇宙やAIのテーマ型まで混ぜて「アクティブの8割が負ける」と言われても困る、真面目な長期投資のファンドだけ集めれば結果は全く違う、というものです。中野さんも、企業の利益を生む力を科学的に見極めると話していました。
「8割負ける」の元データでは、日本で売られている世界株のアクティブファンドは10年で100%、米国株のアクティブファンドは10年で97.65%が指数に負けています。
テーマ型が混ざっているという指摘には、一理あります。
だったら、本人たちのファンドの成績で確かめればいい。
僕が見た限り、対談では自分たちのファンドを指数と並べた数字は出てきませんでした。だから、公開データで並べました。
▼この章で参考にした一次情報
・楽天証券 トウシル YouTube「急変する世界と日本の金融市場 日米ファンドマネージャーに聞く」2026年9月18日収録
・S&P Dow Jones Indices「SPIVA Japan Scorecard Year-End 2025」2025年12月31日時点
100万円で答え合わせ|達人ファンド・新ホリコ・なかの世界成長は3本とも指数に届かず
最初に100万円を入れ、2026年10月29日まで持ち続けた結果です。
セゾン資産形成の達人ファンドは、2007年3月の設定から19年7か月で559.6万円になりました。世界株の指数なら623.6万円で、64.0万円の差です。(鼻つぶれぱぐ男の試算)
新ホリコ・フォーカス・ファンドは、2016年5月の設定から10年5か月で593.0万円。S&P500なら642.3万円で、49.3万円少ない結果です。
なかの世界成長ファンドは、2024年4月の設定から2年6か月で118.6万円。世界株の指数なら158.0万円でした。
3本とも、比べるべき指数に届いていません。
比べる相手は、ファンドごとに一番ふさわしい指数にしました。達人ファンドとなかの世界成長ファンドは、運用会社自身が世界株の指数(MSCI ACWI)を参考指数にしています。新ホリコはベンチマークがなく、中身がほぼ米国株なので、米国株全体のS&P500と比べました。
ファンドは手数料を引いた後の基準価額、指数は配当込み・円換算です。9月30日までは指数そのもの、10月の1か月分は指数に連動するインデックスファンドの基準価額の動きでつないでいます。
新ホリコは、9月末の時点では差が15.1万円で、ほぼ互角でした。10月の1か月でファンドが4.0%下がり、S&P500に連動するインデックスファンドが1.4%上がったので、差が一気に開きました。1か月でこれだけ揺れるファンドです。
堀古さんは、自分の金融資産も全部このファンドに入れていると話していました。それでも、設定からの通算で指数に勝ち越せていません。
▼この章で参考にした一次情報
・セゾン投信「セゾン資産形成の達人ファンド 運用報告書(全体版)」第19期 2025年12月10日決算
・楽天投信投資顧問「新ホリコ・フォーカス・ファンド 交付運用報告書」第10期 2026年3月16日決算/月次レポート 2026年9月30日基準
・なかのアセットマネジメント「なかの世界成長ファンド 交付運用報告書」第2期 2026年4月24日決算/月次レポート 2026年9月末基準
・MSCI「MSCI ACWI」(配当込み・円)日次データ 2026年9月30日まで
・S&P500トータルリターン指数(Yahoo Finance経由)日次データ 2026年9月30日まで
・マネックス証券 ファンド詳細ページ(達人ファンド、なかの世界成長ファンド、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500))基準価額 2026年9月30日・10月29日
・楽天証券 ファンド詳細ページ(新ホリコ・フォーカス・ファンド)基準価額 2026年10月29日
達人ファンドは中野さんの16年は勝ち、抜けた後の3年で逆転
同じ達人ファンドでも、どこで区切るかで勝ち負けが逆になります。
最初に100万円を入れた人は、中野さんがいた16年(2007年3月〜2023年6月)で361.2万円になりました。世界株なら321.5万円で、ファンドが39.7万円上です。(鼻つぶれぱぐ男の試算)
ところが、その後の約3年で、ファンドは約1.55倍、世界株は約1.94倍になりました。2026年10月29日には、ファンドが559.6万円、世界株が623.6万円です。
39.7万円のリードが、64.0万円の負けに逆転しました。
前半の勝ちを作ったのは、リーマン・ショックの年の下げの小ささです。2008年は、ファンドが−45.2%、世界株が−55.4%でした。(鼻つぶれぱぐ男の試算)
運用会社自身の決算ごとの比較でも、2021年12月の決算から5回続けて参考指数を下回っています。負けは中野さんがいた時期から始まっています。
中野さんが悪いという話ではありません。市場の環境も、選ばれる銘柄も変わります。
問題は、勝っている時期のファンドを、買う前に選べるかどうかです。
これから買う人が手にするのは、これからの成績だけです。
▼この章で参考にした一次情報
・セゾン投信「セゾン資産形成の達人ファンド 運用報告書(全体版)」第17期 2023年12月11日決算・第19期 2025年12月10日決算
・セゾン投信「代表取締役の異動」2023年6月28日
・MSCI「MSCI ACWI」(配当込み・円)日次データ 2026年9月30日まで
・マネックス証券 ファンド詳細ページ(達人ファンド、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))基準価額 2026年9月30日・10月29日
運用者はいつかいなくなる|それでもファンドとお金は残る
アクティブファンドは、「この人なら指数に勝てる」という人の判断に乗る商品です。
その人は、いつかいなくなります。
中野さんは2023年6月28日に、セゾン投信の会長CEOを退任しました。運用報告書には、以後CIO(最高投資責任者)を置いていないと書かれています。会社は、運用担当者は続投していて方針に変更はないと説明しています。
投資先のファンドでも人は動きます。達人ファンドでは、運用責任者が交代したアジア株ファンドの比率を下げ、運用チームが移った新興国株ファンドは全額売却しました。
中野さんを信頼して積み立ててきた人のお金は、そのままファンドに残ります。手数料も、残高に応じて毎年かかり続けます。
ファンドそのものが途中で終わることもあり、条件は目論見書に書いてあります。
新ホリコは、投資先の外国の投資信託がなくなれば終わります。投資先の運用体制に大きな変更があれば、終わらせることもできます。なかの世界成長ファンドは、純資産が10億円を下回ると繰上償還できる決まりで、10月29日時点の純資産は約38億円です。
繰上償還になれば、持ち続けたくても現金で返されます。必要な時に必要な分だけ取り崩す計画も、途中で崩れます。
オルカンは、世界株の指数に連動する運用です。中身は指数で決まり、特定の人の判断に頼りません。純資産は10月29日時点で14兆円を超えています。
長く持つつもりなら、運用者がいなくなった後のことまで考えて選んでください。
▼この章で参考にした一次情報
・セゾン投信「セゾン資産形成の達人ファンド 運用報告書(全体版)」第17期 2023年12月11日決算・第19期 2025年12月10日決算
・楽天投信投資顧問「新ホリコ・フォーカス・ファンド 投資信託説明書(交付目論見書)」
・なかのアセットマネジメント「なかの世界成長ファンド 投資信託説明書(交付目論見書)」「同(請求目論見書)」
・マネックス証券 ファンド詳細ページ(なかの世界成長ファンド、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))純資産総額 2026年10月29日
手数料は成績に関係なく毎年かかる|100万円あたり年1万円台と700円
成績は不確実です。手数料は確実です。
100万円を1年持つと、かかる費用(総経費率)は、達人ファンドが13,900円、なかの世界成長ファンドが15,200円です。オルカンは700円です。(総経費率をもとにした鼻つぶれぱぐ男の計算例)
新ホリコは総経費率7.63%で、100万円あたり76,300円でした。これはファンドが+40.5%だった年の数字で、成功報酬が含まれます。
運用会社と販売会社の収入は、勝っても負けても「残高×料率」で毎年入ります。残高が増えるほど、収入が増える仕組みです。
個人の悪意じゃない、構造の話です。
だから、アクティブファンドを売る側から「手数料はできる限り安く」という話は出てきにくい。でも投資で一番大事なのは、できる限り手数料をかけないことです。
僕は信用金庫と郵便局で18年、金融の窓口にいました。当時の店頭には高コストの投資信託しかなく、全世界株を淡々と積み立てる道がありませんでした。自著『保険からの卒業』にも書いた、当時は気づかなかった構造です。
同じ成績なら、手数料が安いほうが手元に残ります。
費用の差が積立にどう効くかは、自分の金額で試算できます。
▼この章で参考にした一次情報
・セゾン投信「セゾン資産形成の達人ファンド 運用報告書(全体版)」第19期 2025年12月10日決算
・なかのアセットマネジメント「なかの世界成長ファンド 交付運用報告書」第2期 2026年4月24日決算
・楽天投信投資顧問「新ホリコ・フォーカス・ファンド 交付運用報告書」第10期 2026年3月16日決算/投資信託説明書(交付目論見書)
・三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)交付運用報告書」2026年4月27日決算
まとめ|勝つファンドは先に選べない、資産形成中ならオルカン1本で十分
勝つアクティブファンドは、実在します。日本の中小型株のアクティブファンドは、10年で37.87%が指数に勝ちました。達人ファンドも、中野さんがいた16年は勝っています。
でも、どれが勝つかを買う前に選ぶことはできません。
堀古さんは対談で、市場に長く勝った投資家たちを紹介したバフェットの講演を引用していました。そのバフェット本人は、自分が亡くなった後に妻のために遺す資金の90%を、低コストのS&P500インデックスファンドに入れるよう指示しています。
インデックスが有利なのは、算数です。コストを引いた後のアクティブ全体の平均は、そのコストの分だけ市場の平均を下回ります。経済学者ウィリアム・シャープが1991年の論文で示したとおりです。
僕自身も、セミリタイア後の4年ほど、トレンドを追いかける短期売買を試して、今年白旗を上げました。労力に見合う成績が出せなかったからです。やめたのは短期の売り買いで、長く持つ資産は今も持っています。
僕の資産形成の原点は、リベシティで学んだ両学長(リベラルアーツ大学)の考え方です。固定費を削って浮いたお金をオルカンに回す土台も、そこで作りました。
資産形成中で、働いて円を稼いでいる人は、株式はオルカン1本で十分です。
取り崩しの時期に入った人は、現金なども組み合わせます。それでも、高い手数料のアクティブファンドを足す理由は、今回の数字からは見つかりません。
前に話したコモンズ30も、17年やってTOPIXと同じか少し下でした。その回の記事はこちらです。
オルカンは人生を安定させる道具|アクティブは17年で指数並み
10年で指数に負けるアクティブファンドの割合は、こちらに書きました。
アクティブファンドはやめとけ|10年で8割が指数に負ける現実
今日の一歩は1つだけ。持っている投資信託の運用会社のサイトで交付運用報告書を開き、「総経費率」の数字を1つだけ見てください。
投資はパッシブ、ビジネスはアクティブ、ギャンブルや借金はネガティブ。
20年後、30年後に「あのときオルカンを続けてよかった」と思ってもらうために、僕は毎日話しています。
▼この章で参考にした一次情報
・S&P Dow Jones Indices「SPIVA Japan Scorecard Year-End 2025」2025年12月31日時点
・Berkshire Hathaway「2013 Shareholder Letter」
・William F. Sharpe「The Arithmetic of Active Management」Financial Analysts Journal 1991年
・自著『コアはオールカントリー1本でいい』『お金に困らない人生のつくり方』(鼻つぶれぱぐ男)
・ブログ記事『オルカンは人生を安定させる道具|アクティブは17年で指数並み』
▼増やす話をもっと読みたい方はこちら
▼参考資料(2026年10月30日確認)
・S&P Dow Jones Indices「SPIVA Japan Scorecard Year-End 2025」2025年12月31日時点
https://www.spglobal.com/spdji/en/documents/spiva/spiva-japan-year-end-2025.pdf
・セゾン投信「セゾン資産形成の達人ファンド 運用報告書(全体版)」第17期 2023年12月11日決算
https://www.saison-am.co.jp/pdf/fund/master/report/annual_report2_2312.pdf
・セゾン投信「セゾン資産形成の達人ファンド 運用報告書(全体版)」第19期 2025年12月10日決算
https://www.saison-am.co.jp/pdf/fund/master/report/annual_report2_2512.pdf
・セゾン投信「代表取締役の異動」2023年6月28日
https://www.saison-am.co.jp/news/pdf/newsrelease20230628.pdf
・楽天投信投資顧問「新ホリコ・フォーカス・ファンド 交付運用報告書」第10期 2026年3月16日決算
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/invest/JP90C000D4C5_invest.pdf
・楽天投信投資顧問「新ホリコ・フォーカス・ファンド 投資信託説明書(交付目論見書)」
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/prospectus/JP90C000D4C5_prospectus.pdf
・新ホリコ・フォーカス・ファンド 月次レポート 2026年9月30日基準
https://apl.wealthadvisor.jp/webasp/pdf/monthly/2016051101_M_202609.pdf
・なかのアセットマネジメント「なかの世界成長ファンド 交付運用報告書」第2期 2026年4月24日決算
https://nakano-am.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/ar_nggf_2604.pdf
・なかのアセットマネジメント「なかの世界成長ファンド」月次レポート 2026年9月末基準
https://nakano-am.co.jp/wp-content/uploads/2026/10/mr_nggf_2610.pdf
・なかのアセットマネジメント「なかの世界成長ファンド 投資信託説明書(交付目論見書)」
https://nakano-am.co.jp/wp-content/uploads/2026/07/nggf_kofu.pdf
・なかのアセットマネジメント「なかの世界成長ファンド 投資信託説明書(請求目論見書)」
https://nakano-am.co.jp/wp-content/uploads/2026/07/nggf_seikyu.pdf
・三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)交付運用報告書」2026年4月27日決算
https://www.am.mufg.jp/pdf/kouunyou/253425/253425_20260427_k.pdf
・MSCI「MSCI ACWI」(配当込み・円)日次データ
https://www.msci.com/end-of-day-data-search
・マネックス証券 ファンド詳細ページ「セゾン資産形成の達人ファンド」基準価額 2026年10月29日
https://fund.monex.co.jp/detail/96312073
・マネックス証券 ファンド詳細ページ「なかの世界成長ファンド」基準価額・純資産総額 2026年10月29日
https://fund.monex.co.jp/detail/BJ312244
・マネックス証券 ファンド詳細ページ「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」基準価額・純資産総額 2026年10月29日
https://fund.monex.co.jp/detail/0331418A
・マネックス証券 ファンド詳細ページ「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」基準価額 2026年10月29日
https://fund.monex.co.jp/detail/03311187
・楽天証券 ファンド詳細ページ「新ホリコ・フォーカス・ファンド」基準価額 2026年10月29日
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/detail/?ID=JP90C000D4C5
・Berkshire Hathaway「2013 Shareholder Letter」
https://www.berkshirehathaway.com/letters/2013ltr.pdf
・William F. Sharpe「The Arithmetic of Active Management」Financial Analysts Journal 1991年
https://web.stanford.edu/~wfsharpe/art/active/active.htm
※数字は過去の実績で、将来の成果を約束するものではありません。
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
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