みんなで大家さん許可取消の教訓3つ|不動産は東証REIT指数で十分
みんなで大家さん許可取消の教訓3つ|不動産は東証REIT指数で十分
「国の許可を持っている会社だから大丈夫」「実物の不動産があるから安心」。そう思って出資したお金が、約束の日に返ってこない。いま、それが本当に起きています。
結論から言います。
不動産に投資したいなら、不動産クラウドファンディングのような小口化商品には近づかず、東証REIT指数で十分です。
2026年9月1日、不動産投資商品「みんなで大家さん」の運営会社が大阪府から、販売会社が東京都から、同じ日に事業の許可を取り消されました。府と都の資料を読むと、「許可」も「実物の不動産」も、出資したお金を守っていなかったことが分かります。
この記事では、そこから学べる教訓3つと、いま出資している人がやることをまとめます。
みんなで大家さん許可取消で何が起きたのか
2026年9月1日、大阪府は運営会社の都市綜研インベストファンド株式会社の許可を、東京都は販売会社のみんなで大家さん販売株式会社の許可を、それぞれ取り消しました。業務停止のような「一時休止」ではありません。事業の許可そのものがなくなる、いちばん重い処分です。
ただし、会社や契約が消えるわけではありません。府と都は両社に、出資者への説明と業務の後始末を指示し、9月30日までの書面報告を求めています。
府の資料に並ぶ数字を見てください。
・運営会社の2025年度の事業報告書では、資産から負債を引いた額が約2,881億円のマイナス
・2026年6月30日時点で、9商品の償還(出資金の返還)が期日に間に合わず、遅れている金額は計188億200万円(延べ7,511名)
・これから期日を迎える29商品で、返すべき金額は最大で計1,724億6,939万円(延べ65,269名)。府は、期日までに全額を返すことは極めて困難と認定
・同じ6月30日時点の運営会社の手元の現金預金は92,417,964円。返すべき額のわずか0.05%程度
遅れている分とこれからの分を足すと、約1,913億円です。対して手元の現金は約9,242万円。返すお金の原資が、構造的に足りていません。なお「延べ」は商品ごとの人数を足した数なので、複数の商品に出資している人は重ねて数えられています。
すでに約2,500人が返還を求めて集団で提訴し、請求額は230億円を超えると報じられています(各社報道・未確認)。
一方で、会社側は処分の事実認定や法的評価のすべてを認めているわけではないと表明し、2024年6月の処分についても裁判で争っています(各社報道・2026年9月2日)。この記事では、行政が認定した事実だけを材料にします。
▼この章で参考にした一次情報
大阪府「不動産特定共同事業者に対する行政処分(別紙)」2026年9月1日
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/138687/bextusi2.pdf
東京都「不動産特定共同事業者に対する行政処分について」2026年9月1日
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/09/2026090101
※約1,913億円は、府の別表2・別表3の合計額を鼻つぶれぱぐ男が足し算したものです。
教訓①「行政の許可がある」は元本を守るお墨付きではない
1つ目の教訓は、許可は「この会社はルールの下で営業してよい」という入場券にすぎない、ということです。「元本を守ります」「必ず返せます」という保証ではありません。
販売会社が東京都の許可を受けたのは平成19年(2007年)7月20日です。20年近く許可を持っていた会社でも、今回の結末になりました。許可の長さと、お金が返ってくるかは別の話です。
しかも、黄色信号は2年前に出ていました。2024年6月17日、東京都は販売会社に、大阪府は運営会社に、それぞれ業務の一部停止などの処分を出しています。そのとき販売会社は再発防止策として、AIツールの活用や外部の弁護士によるチェックを行うと決めていました。
ところが東京都によると、販売会社はその確認をせず、賃料が一定期間払われていなかった物件について、調べないまま説明書面の「賃料の支払状況」欄に「該当なし」と書いて販売していました。この書面で199名と契約し、出資額は計4億3,100万円です。都は、業務運営態勢の改善は期待できないと結論づけています。
1回目の警告で止まれなかった組織は、2回目も止まれません。不動産クラファンの行政処分は、今年の春にも別の事業者で出ています。
【注意喚起】不動産クラウドファンディングは危険?行政処分の実例から学ぶ投資リスクと賢い不動産投資の考え方
僕は信用金庫と郵便局で18年、そのうち15年は保険の販売をしてきました。その経験から断言できるのは、金融商品の窓口に立つ人の多くは「金融のプロ」ではなく「金融商品販売のプロ」だということです。個人の悪意ではありません。売った量で評価される構造の話です。だから売り場では、商品の中身より「許可」「実績」「安心」という看板が前に出ます。当時の僕は、その構造に気づいていませんでした。
教訓②「元本保証」と派手な宣伝を信用しない
2つ目の教訓は、「元本保証」という言葉が出てきた時点で疑う、ということです。
リスクを取るからこそリターンがある。それが投資です。そもそも出資法の第1条で、不特定多数の人に「出資金の全額かそれ以上を後で払い戻す」と示して出資を集めることは禁止されています。投資の勧誘で「元本保証」と言われたら、その時点で危ない話です。
みんなで大家さんでは、想定利回り年7%を掲げた商品もあったと報じられています(各社報道・未確認)。想定は約束ではありません。年7%を出す仕組みを、出資者の側から確かめる方法はほとんどありませんでした。
CMで見た、有名人やインフルエンサーが紹介していた。それも信用する理由にしないでください。紹介する側には、ビジネスとしての理由があります。「皆さんのために」と言っていても、その人がどっちの側でお金をもらっているかは別の話です。僕が案件・PRを受けないのは、それが読者のためにならないからです。
本当に良い商品は、宣伝しなくても売れます。オルカンのCMを見たことがありますか。ほとんど宣伝されていないのに、多くの人が買い続けています。中身がまっとうで、コストが低いからです。僕がこの「王道」にたどり着けた学びの原点は、両学長(リベラルアーツ大学)の発信です。
▼この章で参考にした一次情報
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 第1条(法務省 日本法令外国語訳データベース)
https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/3927
教訓③ 不動産に投資したいなら東証REIT指数で十分
3つ目の教訓は、不動産に投資したいなら、東証REIT指数で十分だということです。
東証REIT指数は、東京証券取引所に上場しているREIT(不動産投資信託)の全銘柄で構成される指数です。連動する投資信託やETFを1本買えば、オフィスや住宅、物流施設など、日本の上場不動産にまとめて分散できます。1つの銘柄がつまずいても、全体への影響は小さく抑えられます。これも宣伝はほとんど見かけません。
もう1つ大事なのが、お金の置き場所です。投資信託やETFに入れたお金は、運用会社の財布とは分けて、信託銀行で管理されます。運用会社や販売会社が破綻しても、信託財産は制度的に切り離されて守られる仕組みです。今回のケースは、運用する会社そのものが大きな債務超過でした。会社にお金がなければ、返すお金もありません。
REITにも値動きはあります。金利が上がる局面では、不動産全体に逆風が吹きます。不動産は借金をして買う人が多いので、金利が上がると買える人が減り、価格が下がりやすくなるからです。マイホームも同じです。僕の見立てでは、不動産を買うなら今ではありません。今はキャッシュを貯めておく時期です。
ただ、「値動きがある怖さ」と「お金が返ってこない怖さ」は、まったく別物です。値動きは、時間が味方をしてくれます。返ってこないお金は、時間がたっても返ってきません。僕自身も、不動産は東証REIT指数で持っています。買うのは資金が抜けて安くなったときだけ。あとは寝て待つ。それだけです。
クラファンとの違いは、以前の記事でも詳しく比べました。
不動産クラウドファンディングより東証REIT指数を選ぶべき理由とは?
▼この章で参考にした一次情報
日本取引所グループ「東証REIT指数 ファクトシート」
https://www.jpx.co.jp/markets/indices/factsheets/files/102_fac2_REIT.pdf
大和アセットマネジメント「運用会社・販売会社・信託銀行が破綻したら、投資信託はどうなるのですか?」
https://www.daiwa-am.co.jp/guide/fund_faq/faq_3.html
まとめ|今日やることは1つだけ
今回の件で分かったのは、行政の許可も、実物の不動産も、高い想定利回りも、出資したお金を守る仕組みではなかったということです。
・許可は営業の入場券で、元本のお墨付きではない
・「元本保証」と派手な宣伝は、疑うきっかけにする
・不動産に投資したいなら、東証REIT指数で十分
今日やることは1つです。いま持っている、または勧められている投資の話を1つ思い浮かべて、「この話をしている人は、どっちの側でお金をもらっているか」を考えてみてください。それだけで、近づいてはいけない話の多くは見分けられます。
▼お金を守る話をもっと読みたい方はこちら
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
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