株高で焦る人へ新NISAは年率20%を信じてはいけない
株高で焦る人へ新NISAは年率20%を信じてはいけない
結論から言います。
株高が続くいまも、焦る必要はまったくありません。
むしろ「年率20%がこれからも続く」と信じている人こそ、一番危ない状態です。
金融機関で18年、そのうち保険を15年売ってきた立場から見ても、いま多くの人が気にすべきは「他人の資産額」ではなく「自分の必要額」です。
この記事では、株高で焦らないための考え方を、順番に整理していきます。
他人の中央値やインフルエンサーの金額は見なくていい
まず大前提です。
あなたが低コストのインデックスファンドで、新NISAを使ってコツコツ積み立てているなら、その時点でかなり先を歩いています。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)などが公表する金融資産の「中央値」は、貯蓄ゼロの世帯も含んだ数字です。
だから実態よりかなり低く出ます。
そもそもNISA口座を開設している人自体が多数派ではありません。
その中で、オルカンやS&P500といった低コストの投資信託を、パッシブで淡々と買い続けている人となると、もっと少なくなります。
仮に、きちんと低コストのインデックスを買えている人が10人に1人だとしたら、あなたはその時点で、中央値の人たちより一歩や二歩ではなく、十歩くらい先を歩いていることになります。
だから、他人の金額に焦る意味はありません。
見るべきものは一つだけ。
自分自身の家計です。
焦る前に「自分の年間生活費」を把握する
株高のニュースを見て、「半導体にもう少し振ったほうがいいのでは」と焦る気持ちはよく分かります。
でも、その前にやることがあります。
年間で自分がいくら使っているかを、一度きちんと出してみてください。
これができていないと、「自分にとっていくら必要か」が永遠に分かりません。
よくある勘違いが、「1億円あれば安心」「5000万円あれば十分」という発想です。
これは意味がありません。
なぜなら、必要額は資産の金額ではなく、あなたの年間支出で決まるからです。
たとえば年間1000万円使う家庭が資産5000万円なら、単純計算で5年で枯渇します。
一方、年間250万円で暮らす家庭なら、同じ5000万円で20年もちます。
つまり必要なのは「いくら貯めたか」ではなく、「自分は年間いくらで暮らせるのか」という感覚です。
マネーフォワードMEのような家計簿アプリを入れれば、毎月・毎年の支出は簡単に把握できます。
通帳を見るだけでも分かります。
1年前の残高と今日の残高を比べて、100万円増えていれば、あなたには年間100万円の余力があるということです。
インフレ率も「必要額」に織り込む
もう一つ大事なのがインフレです。
これから日本も物価は上がっていきます。
今年は300万円で暮らせても、来年は同じ生活に306万円必要になる、ということが起こります。
一般に、目標とされるインフレ率は年2%程度です。
仮に年2%で計算すると、300万円は翌年306万円、その翌年はさらに306万円の2%を上乗せして……と、必要額は毎年少しずつ増えていきます。
だから「必要額」は一度出して終わりではなく、インフレを前提にざっくり見積もっておく。
ここまでできると、他人の貯蓄額がいくらだろうと、本当にどうでもよくなります。
年率20%はなぜ「異常値」なのか
ここが今日の本題です。
最近のオルカンは、調子が良いときで年率20%近く、S&P500も直近数年で20%を超える年がありました。
この数字を見て、「これからもこれくらい増える」と思ってしまう人がいます。
はっきり言います。
年率20%は異常です。
近年しか相場を知らない人は、この前提で計画を立てると危険です。
直近で1年間の成績が悪かったのは2022年くらいで、それ以外はずっと調子が良かった。だから「投資は年率20%」という感覚になりやすいのです。
投資家バートン・マルキール氏の『ウォール街のランダム・ウォーカー』では、S&P500の長期リターンについて、1年単位で見れば大きく上下し、大きくマイナスに沈む年もある一方で、15年程度の長期で保有した場合はマイナスにならなかった、というデータが紹介されています(具体的な数値は一次情報でご確認ください)。
ポイントは、単年ではひどい年もある一方で、長く置いておくとマイナスにはなりにくい、という点です。
だからこそ、短期の値動きで一喜一憂せず、長期で置いておける資金だけを回すことが大前提になります。
ここから暴落は来ると思います。
いつ来るかは、私には分かりません。
予想もできませんし、当たりません。
天井も底も分からない。
だから予想はやめて、淡々とパッシブで長期投資を続ける。
これが結局いちばん強いのです。
「稲妻が輝く瞬間は、市場が一番暗いときの直後に来る」——
だからこそ、相場から降りない。
年率20%が続くことだけは、期待しないでください。
生活防衛資金を分けて、残りはパッシブ投信へ
では、具体的にどう動くか。
順番はシンプルです。
まず、生活防衛資金を現金で確保します。
会社員なら、病気で休んでも傷病手当金が健康保険から出るので、生活費の6か月〜1年分が目安です。
フリーランスや自営業はその保障がないぶん、2〜3年分は持っておきたいところです。
これに加えて、家電の買い替え、急な医療費、旅行などの「特別費」を100万円ほど上乗せしておく。
たとえば月30万円使う会社員なら、生活費1年分360万円+特別費100万円で、現金は500万円ほど。
ここを確保できたら、残りは投資に回して大丈夫だと判断できます。
判断基準ができれば、あとは新NISAで低コストのインデックスファンドを買うだけです。使わないお金なのだから、寝かせておく理由はありません。
イメージをつかむために、一つ試算してみます。
30歳の人が毎月5万円を年率5%で30年間積み立てた場合、元本1800万円に対して合計およそ4161万円になる、という試算です(あくまで年率5%が続いた前提の概算で、実際の成績は上下します)。
しかも新NISAなら非課税です。
低めの5%で見積もっても、これだけの差が生まれます。
実際の数字は新NISAつみたて&取り崩しシミュレーターで試算してみてください。
大事なのは、取り崩しフェーズでも全額を解約しないことです。
全部を現金化するのではなく、必要なときに必要な分だけ取り崩し、残りは運用を続ける。そうすると残ったお金がまた増えるので、想定より資産は減りません。
取り崩す前提でも、月々の生活費と利回りの置き方しだいでは、使い切れずに残ることさえあります。
投資はパッシブ、増やす努力は「ビジネス」で
最後に、根っこの考え方です。
私はいつも「投資はパッシブ、ビジネスはアクティブ、ギャンブルはネガティブ」と言っています。
お金に困らない人生に、人より早く近づきたいなら、頑張る場所は投資ではありません。
世界中のプロが運用するアクティブファンドの多くが、インデックスファンドに勝てていません。
金融の世界を長く見てきた立場から言っても、これは個人の能力の問題ではなく、業界の構造の問題です。
高い手数料をとる商品ほど、その手数料は運用する側のコストで消えていきます。
つまり、個人が投資で「勝ちにいく」必要はないのです。
挑戦すべきは、収入のほうです。
より良い条件に転職する、事業で稼ぎを増やす——そうしてオルカンに回すお金を増やすほうが、よほど現実的です。
ここでリベシティのような場で学びながら動けると、遠回りが減ります。
そして、お金はあくまで道具です。
貯めることが目的になって、最後まで使えないのが一番もったいない。
いわゆる「NISA貧乏」で今の生活を削りすぎるのも違います。
今の生活も、将来も、どちらも明るくしていく。
それが本来の目的のはずです。
株高でも、焦らなくて大丈夫です。
自分の必要額を把握して、生活防衛資金を分けて、残りを淡々とインデックスに積み立てる。
それだけで、あなたはもう十分に先を歩いています。
70点で十分です。
今日が、あなたの人生で一番若い日ですから。
※ぱぐおはリベシティ応援会員です。資産形成の原点は両学長(リベラルアーツ大学)の考え方から学びました。
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