
個人年金保険を解約したときと満期で受け取ったときの税金・社会保険料の違いを徹底解説!
はじめに
おはようございます。鼻つぶれぱぐ男です。
このチャンネルでは、金融機関や周囲の人が教えてくれない「お金のリアル」をお伝えしています。
今回は前回、質問をいただいて、記事にした「40代後半からの個人年金と新NISA活用法|老後資金づくりの最適解を考える」の続編です。
「個人年金保険を解約した場合と、満期で年金として受け取る場合の税金の違い」について、そして「60歳以降に受け取ったときの社会保険料への影響」を詳しくお話しします。
老後資金づくりの手段として人気の個人年金保険ですが、仕組みを理解せずに加入・解約すると、税金や社会保険の面で損をしてしまう可能性もあります。
個人年金保険を途中で解約した場合の税金
個人年金を途中で解約して一括でお金を受け取る場合、その受取額のうち「支払った保険料を超える部分」が利益になります。
この利益は、税法上「一時所得」として扱われます。
一時所得の計算式
一時所得の課税対象額は次のように計算します。
(受取金額 − 払込保険料総額 − 特別控除50万円)÷ 2
例えば、300万円を積み立てて解約時に500万円を受け取った場合、
(500万円−300万円−50万円)÷2=75万円が課税対象になります。
この75万円がその年の総所得に加算され、所得税・住民税の対象となります。
また、会社員で会社で健康保険等に加入していれば、社会保険料の算定には影響しません。
但し、市町村などの国民健康保険加入の場合は、社会保険料の算定に影響します。
解約した翌年の国民健康保険料にはご注意を。
また、解約した翌年に会社員等を退職して、健康保険から国民健康保険に変更にもご注意を。
満期で年金形式で受け取る場合の税金
一方、満期になって年金形式で毎年一定額を受け取る場合は、雑所得として課税されます。
これは、受け取る年金額のうち「利益分」に対して毎年課税される仕組みです。
雑所得の計算方法
年金形式で受け取る場合は、次のように計算します。
(受取額 − 払込保険料のうち年金対応分)
この差額が「雑所得」となり、その年の所得に合算されます。
年金形式では毎年少しずつ税金(所得税・住民税)がかかるため、一度に大きく税金を払うリスクは少ない反面、長期間にわたり毎年課税される点に注意が必要です。
60歳以降に年金で受け取る場合の社会保険料への影響
① 会社員として働いている場合
年金(雑所得)は、給与所得に合算されないため、社会保険料が上がらない可能性があります。
② 退職している場合
一方で、退職後に国民健康保険に加入している場合は、個人年金の受取額(雑所得)が国民健康保険料の計算対象になります。
国民健康保険料は「前年の所得」に基づいて算定されるため、個人年金で多く受け取ると、翌年の保険料が上がる仕組みです。
ただし、給与所得がなく、雑所得だけであれば、所得が低い分だけ社会保険料の上昇幅は限定的です。
解約・満期どちらが得か?
税金・社会保険料の面で考えると、次のように整理できます。
受取方法 | 税金の種類 | 社会保険料への影響 | 特徴 |
---|---|---|---|
途中解約(一括) | 一時所得 | 影響なし(会社員で健康保険加入の場合) | 一度に税金がかかるがシンプル |
満期(年金形式) | 雑所得 | 会社員でない場合、上昇の可能性あり | 長期的に税金・保険料が発生 |
特に60歳以降も会社員で働く場合、年金形式で受け取ると社会保険料が上がらないが、退職後に受け取りを開始すると、社会保険料に影響ありです。
一方、早期に資金が必要な場合や、受取額が少ない場合は、一括受取(解約)で一時所得として申告した方が税負担が軽くなることもあります。
まとめ
- 個人年金を途中解約すると一時所得扱いで、課税(所得税・住民税)されます(但し、所得金額に応じて、原則不要の場合も)。
- 満期で年金形式にすると雑所得扱いとなり、毎年課税(所得税・住民税)されます。
- 満期で年金形式にすると、社会保険料は給与(会社で健康保険加入の場合)と合算されないため、現役会社員が受け取ると負担が増えない可能性があります。
- 一方、満期で年金形式にすると、退職後に受け取れば社会保険料の影響は出る可能性があります。
老後資金づくりは「どのタイミングで」「どの形式で」受け取るかで税金と保険料が大きく変わります。
制度を理解した上で、自分に合った受け取り方を選ぶことが大切です。